『MOZU Season 1〜百舌の叫ぶ夜〜』 第6話

冒頭であっさりと架純ちゃんが退場。拷問の様子は映されずとも、もう、その凄惨さは容易に想像がつくってもんだ。

宏美のモノローグによる新谷兄弟の異常な生い立ちと、美希の説明による事件当日の状況説明とが交互に挿入され、やがて爆発現場の一点で交じり合う前半は緊張感みなぎるもので、みゆきちゃんが絵に描いた「おばけ」の映像を見せられたときのやるせなさ・絶望感がすごかった。ICチップを探すために、そこらじゅうに散らばっている人間のかけらを拾っては投げ、拾っては投げしていたということか。なるほど、新谷宏美はおばけだ。

けれど、爆弾は宏美が仕掛けたものじゃない。ICチップって何なの? 和彦が残した「おまえに謝らなければならないことが」の示すものは?

・・・・なんて謎が謎を呼んでいるのが、もうどーでも良くなる後半の宏美劇場! 中神サヨナラ公演! なんだこれww 

中神が駆けつけるとナース姿になってる宏美が最高だった・・・! この監督(あ、原作の描写?)センスありすぎる! んで、中神が呵呵大笑して「なぁに着てんだよオマエッ!」とちゃんとツッコむのが、またいいの。あれで、ナース姿が相対化される。ギャグ化からも免れるのはもちろん、全然怖がってない中神のこと「そーだコイツもイカれてたんだった、変態 vs 変態の戦いだ」と再認識できる。

チンピラが覚醒したMOZU・宏美の相手にならないのは当然として(このドラマのチンピラさんたちは、ものすごく強いチンピラなんだけどね)、中神までもが結構あっさり陥落したのは宏美さすが。MOZUの巨大な早贄として窓際に捧げられた中神の死に顔がひどく安らかだったのが印象的だった。荒ぶるイカレ野郎が、宏美に殺されたことで初めて静穏を得たような。

とはいえ、和彦というタガの外れた状態で覚醒したMOZUは危険極まりない存在。これまで、視聴者としてはどこか、新谷寄りでもあったというか、新谷がチンピラどもから逃げおおせるとホッとし、新谷が拷問されると顔をしかめ、新谷の逆襲には溜飲の下がるところもあった。でもここからは間違いなく、倉木・美希・大杉らとMOZUとの対決になる。こえーよ宏美。それに、和彦はホントに死んだのか? 最後らへんに出てくるパターンじゃね?

吉田綱太郎さんおつかれさまでした。舞台俳優、しかもシェイクスピア俳優ならではのアクの強さを存分に見せつけた怪演だったが、私がこの人を初めて見たのは『風林火山』(やっぱり大河だよ、ええwww)での津田監物 役。ひたすら渋かった。現在、『花子とアン』での炭鉱王・嘉納伝助 役(モデルは伊藤伝右衛門)でもメリハリのある、総じて抑制のきいた演技を見せている。中神ちゃんが当たったことで、大仰な演技だけでキャスティングされないことを祈るです。