読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『軍師官兵衛』 第19話「非情の罠」

みんな耐えろ! これが今年前半のクライマックスだ!!

・・・と言いたくなるような、甘い脚本で有岡城に突入してしまった軍師官兵衛です。軍師っていうか、正直者・官兵衛な。

前回、村重の謀反の経緯には「なかなか納得」と書いたわたくしですが、小寺政職の離反の理由には説得力を感じられず。「作り手、ヤッチマッタナー」と、うなだれました。

お紺が、あれほど、「困ったときは官兵衛の言うとおりに」と念押しして死んでいったわけですよ。そのお紺を慕い続けながら、なぜ、こうもあっさりと官兵衛にそっぽ向けるんです? あまつさえ、殺そうとするとは。そこには、何か、「小寺的に裏切る必然」がなければ高まらないでしょうよ、ドラマとして。

腐っても三代前からの主従関係、しかも配役に鶴太郎をもってきといて、この、詰めの甘さ、というか、最初から詰める気の無さ。看過できません。

多分ね、小寺政職(このドラマの、という意味ね)は、とにかく生理的に信長が嫌いなんだろうと思うんですよ。みんな、織田が上月を見捨てたとと騒いでるけど、それ言うなら毛利だって志方を見捨ててるやん。だいたい志方の城主=左京進は上月の尼子勝久よりも鶴太郎にとってはよっぽど近しい存在なのに、左京進の離反や自刃について、鶴太郎は哀れんだり憤ったりどころか、一言の感想もないのね。左京進、マジでドンマイやで。

結局、誰だって自分とこの保身やら戦略やらが一番大事なんだから、毛利が織田より頼れるとか信に厚いとか、そういう客観的な事実はないわけでしょ。あるのはイメージ。「織田は東から来た侵略者であり、数々の残虐伝説を持つ、播磨勢から見れば異文化・非合法の人。毛利はもともとの地主」っていう。だから、小寺に限らず西国の領主たちはみんな織田が嫌いで、消去法で毛利を選ぶ。

それならそれで、そこを強調してくれないと。「どーしても織田はイヤなの! 嫌いなの! あいつら侵略者! 前に1回会ったときも超感じ悪かったしさ」て、お紺が死ぬ前からでもいいよ、鶴ちゃんにもっと延々くどいくらい言わせとかなきゃ。

同時に、外からの闖入者に抵抗感を覚えるのは人類普遍の心理なんだから、「そこを押して、なぜ、官兵衛は織田につくか、そして黒田家の面々及びお紺はそれを支持するのか」ってのも、こんこんと詰めてもらわなければいけなかった。

「官兵衛には先見の明があったから、あと、秀吉が大好きだから」っていう理由でドラマは進んで行ってるけど、あまりにもフワッとしすぎだった。だから、官兵衛が迷いなく織田プッシュなのにも、土壇場で鶴太郎が裏切るのにも、見てて気持ちがついていかない。

いっそ官兵衛、「バカで小物な主人より、人でなしでも大人物の信長/秀吉のほうがいい。そのほうが俺も軍師として輝けるし」ってハッキリ打ちだしてたら良かったのに。まあ、主人公をそんな俗物にする勇気はこのドラマの製作陣にはないし、このドラマの官兵衛には軍師適性ないし、そもそも信長がかわいすぎるんですけどね。はぁ〜、考え出すと、あっちもこっちもユルいこのドラマに今さら説得力をもたせるほうが難しいのだな。

そう、官兵衛についてる「軍師」の銘が泣くぞw 村重の謀反の気配は悟れないわ、主君の織田離反の気配は悟れないわ、そして主君が自分を消そうとする算段を悟れないわ・・・何のための軍師だwww まあ有岡城終わるまでは「いい人」「青年」官兵衛、でいくシナリオなんだろうとは思うけど、村重が謀反してオロオロ、鶴太郎が寝返ってオロオロ、そして鶴太郎に殺されかけてショック・・・と、いちいちオロオロびっくりしてるリアクション見てると苛立たしくてだなwww 

たぶんこれも、プロデューサーが大事にしてる「わかりやすさ」のための演出で、「主人公が相当びっくりしてる=相当なおおごとなんですよ、という視聴者へのアピール」ってのがひとつ、あるんだろうなーと思うけど、それが主人公のキャラをぶれさせ、まして魅力を打ち消してたら世話ないでしょうよ。

要所要所の岡田くんはすごくかっこいいのに、本当にもったいないことです。もうすぐアレなんで、今回の馬&城内での大立ち回り、次回の壁歩き(?)と、最後のアクション満載でお届けする模様ですね。そういうのは、じゃんじゃん調子に乗って盛りまくってやってくれていいんだけどさぁ…

官兵衛と光のしばしの別れ。光を愛おしそうに見つめて頬を撫ぜて、光は追慕で目を潤ませて…そういう役者に頼ったひと芝居で「夫婦の愛情」を描いた気になってんじゃねーぞ。果たしてこのドラマ、最終回までに夫婦愛でホロリとさせるシーンを描けるんでしょうか(笑)

さて、信長。なんだ、あのガラクタ部屋wwww あんな家で暮らしてたら、そら情緒不安定にもなるわwww 誰か信長タンに、こんまりかDr.コパか、松居一代でもいい、紹介してあげて〜〜〜

信長、激おこでも濃姫たんをお部屋に入れてあげるとこがバカかわいいよねwww てか、激おこだからこそ、濃姫たんにぶちまけたいタイプだよね、この信長www

「新しい世」について、「ちっぽけな日本を豊かにして、世界に伍する国に」という具体的な構想が、一応、明らかになりました。これも、先週じゃなくて、もっと前から大々的に掲げてればよかったのにね。織田家中の意思共有のためにも、ドラマの脚本の説得力としても。まあ、言うても絵に描いた餅のような公約で、織田家的にも、視聴者的にも、全然魅力的でない構想ではあるが(笑)

いきなり自分語りを始めた高山右近にびっくり。でも、あのエピソード&傷の話をしたことが、一応、今後に繋がっていくんでしょうね。とりあえず、村重は剛毅で、男前で、恩義を感じてる人間がそこここにいる、っていう前提で進んでいく、有岡城の戦いであります。

それにしても、村重が官兵衛に言った「もうよせ、官兵衛。おまえが哀れに思えてきた」ってセリフがホントそのとおりで、仮にも軍師なのに、愚かすぎて哀れって・・・やっぱり根本的におかしいと思う。