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『軍師官兵衛』 第18話「裏切りの理由」

物足りなさは否めないものの、それはそれとして、けっこう楽しんだのも事実です。

てか、信長が可愛く見えてきて困る。かわいらしいっていうか、なんか、「バカでぇ」って笑っちゃう感じ。バカかわいい、とでも申しましょうか。信長と龍馬といえばお約束アイテムの地球儀。出てきましたね。大河好き、時代劇好きには食傷以外の何者でもないエピソードですが、なんかちょっと…ちょっと、面白かったよね? ほのぼのしたよね?笑 

地球は丸い、と言われた信長が「証拠はあるのか」と問うて、高山右近が「遠くから現れる船は帆先から見えてきます、このように」と指でやってみせるシーンは面白かったです。ちょっと「なるー」って思っちゃった。それで信長だけが一発で理解しちゃうのは、これはもう信長モノのテッパンだから文句を言うのは野暮ってもんで、隣でニコニコと、けれどひたすら頑固に「そんなことあるわけないわ」「水が流れ落ちてしまうじゃないの」と否定し続ける濃姫がデラかわええ。

「マゼランは“3年”で世界一周した」「地球が丸いのは50年前に明かされた真実」などもウンチクとしてちょっと面白かったですね。それで信長が「わしも行ってみたい。広い世界をこの目で見てみたい!」とキラキラと少年の如くに目を輝かせ始めるに至っては、今にも「世界の海援隊を作るぜよ!」とか言いだすんじゃないかと笑いっちゃいましたが。完全に混ざっとるだろ、日本史の英雄がwww

ここで光秀までがちゃっかりと円卓に座しているのもおかしければ、少年の目をした(笑)信長が「一緒に大海原に乗りだそうぜ!」と誘うのもおかしければ、「いや、それがしはとてもとても」とケンモホロロに断っちゃうのもおかしかった。なんか何もかもがおかしいこのシーンwww おまいら、ほのぼのしすぎwwwww 

だからこのあとに細川藤孝がやってきて告げる「村重、謀反の疑いあり」の報を「馬鹿な」と一笑に付す姿を見ると、「平和ボケってこういうことだなー」としか思えんかったwww 

なんせプロデューサーが先頭切って「わかりやすさ」の旗振ってる大河だから、今週になって信長がやたら「村重には胆力がある」「わしの“新しき世”には欠かせない男」などと村重さんを褒めて讃えてドラマチックさを作ろうとしてるんだろうけど、これまでずっと見てきた者としては「なぜそんなに村重をかうのか?」「そもそも“新しき世”ってナニ?」という「これまでずっと見てきたのにわからない疑問」が渦巻く説明セリフのオンパレードであります。そして、さんざん持ち上げてやった村重にあっさり裏切られる上様涙目www ほんとバカだよ、ここまでくるとバカかわいいよ、この信長さん・・・wwwwww

でも、本作の信長って基本的に甘いよね。秀吉のことも大好きだし、官兵衛の息子も結局秀吉に預けちゃうし、村重だってさんざん許されてきたわけで。村重を称して「追いつめられれば追いつめられるほど実力を発揮する男」なんてひどく持ち上げてたけど、それじゃあ本願寺との和睦の前にもっと追いつめて実力発揮させとけよ、と思わざるを得ないw まあ、「意外と身内に優しい」「一度目はとりあえず許す」ってのは、事実、信長ってそうなんだけどね。

江口洋介は、セリフを言う時に首が妙な感じに動くのが気になってたんだが、唇の動かし方もちょっといただけないな。尊大な雰囲気を出そうとしている演技なんだろうけど、どうもヤンキーぽく見えて。

さて今回サブタイトルが「裏切りの理由」だったわけですが、村重さんは結局どうして裏切ったんでしょうか? 15文字以内で答えなさい。・・・となると、答えは何でしょうね。「信長を信じられなくなったから」あたりが模範解答になりそうですが、「織田家がブラック企業だから」とか「心身共に疲弊して判断力を失ったから」とかでもOKな感じです(後者は字数制限オーバーですが)。

うん、この描き方はね、けっこうアリだと思いましたよ私は。何か決定的な一打があった感じじゃないんですね。中川清秀の配下に本願寺派が紛れ込んでいて兵糧を…というのが最後のトリガーにはなったわけですが、村重は決して信長に対する恨みつらみを募らせていたわけでもなく、天下取りの野望が抑えきれなかったのでもなく、とにかく「不信感」と「疲弊」とが前面に出ていたような。

命令ひとつで東へ西へと奔走させられ、門徒たちとの凄惨な戦いに明け暮れ、猿づれの下で働けと言われ、監査(万見仙千代)はチクリ屋だし、あげく「俺は裏切るつもりなんかないけど、裏切りの疑いをかけられてしまえば一巻の終わり」という強迫観念に駆られる。さんざん搾取されて「新しい国」もなんもないですよね、その前に心も体も壊れてしまうっつーの。まぁ信長パートを見ていると、ブラックプレジデントというよりは田舎のヤンキーの兄ちゃんみたいに見えてしまうところがつらいんですが(笑)、非常に現代的な描き方で、これは確かに2014年の「裏切りの理由」かなあという気がしました。

なんといっても田中哲司ですよね。役者の無駄遣いが多すぎる大河にあって、これは冴えわたるキャスティングだったと認めざるを得ません。追いつめられていく様子の中にも、時折、生来は土臭く情深い野武士であった面影を見せて、視聴者の心をつかんで離しませんでした。ついに今回ラストで「信長を討つ!」と宣言するところも、勇ましくて、見ていて「ついに肚を決めたか!!」という小さなカタルシスを覚えるんですが、同時に凄まじい「負け臭」と「頭良くなさそう」な感じが漂ってるのがもう何とも言えない。哲司の場合はね、頭の悪さが滲んじゃうんじゃないんです。そういう意図での演技なんです。

中川清秀は、村重を追いつめてしまうというなかなか良い仕事をしましたね。役者の面構えも武将っぽくて。翻って、生田さんはなんとなく「綺麗なんだけど薄っぺらい」役で無駄遣いされてしまいそうな雰囲気です。ラストの評定に乗り込んできての熱のこもったセリフなんか、さすがにうまいだけに、もったいない。

それにしても、初登場時に「私は賢い方が好きでございます」なんて挑発的なセリフを口走っていただしっ子ちゃんが、どうも頭の良くなさそうな村重の「単なるカワイコちゃん妻」におさまってきたのは人物造形としていただけませんね。まあ「カワイコちゃん妻」がいるからこその村重の懊悩、というのは良かったんですが、だったらああいう初登場はねぇ。きっと、今後の有岡城戦の中で、あのセリフの回収をしてくるんでしょうけども、ここまでの空白は消えはしないよ。

…てか、主人公、影薄いな!!!

先週行ったらしい「偽書状?による毛利のかく乱」について、宇喜多直家が褒めたりなんたりして官兵衛もまんざらでもなさそうな顔してたりしたけど、その調略作業の内容が明らかになってないので、視聴者としては右から左に抜けていっちゃうわけです。村重の謀反の兆候については全然気づいてもないし、直家にヒント出されてもまだ気づかないし、ダメだろこいつ。三木城に付け城40個だかなんだか築いて「こんな奇策みたことない」と褒められてたけど、そんなのも織田の財力の動員力あってこそできる策だよね、けっ、とか思っちゃいます。

あげく、姫路城で善助んとこに生まれた赤子をどうのこうの…のシーンには毎度のことながら激しくイラつかされました。いらねーだろ! こんなシーン!! 全然ほのぼのしねーんだよ!! …いえ、わかります。長浜の松寿丸との対比だというのは。松寿丸はとってもけなげでしたし。あのうなだれた細いうなじ!! わかりやすい演出だけどやっぱりとってもかわいそうに思えちゃいます。しっかし姫路はイラつくww 

鶴太郎が接待囲碁に次々と「待った」をかけるのは面白かったんですけど、そのあとの「迷ったときは何でもお紺が決めてくれたのに〜〜〜(嗚咽)」にはホント白けます。そこまで?! そこまで情けなく描くか?! や、亡き妻を偲んで嗚咽するのはまだわかるが、セリフがまずい。バカ殿だって腐っても領主なんだから、そこまで妻におんぶにだっこみたいなセリフはかわいそうでしょうよ。聞いてるこっちがイヤな気がする。いつも言うが、主人公をageるために、周囲を無闇にsageるのはダメな脚本のすることだ!!

一方で、そんな情けない殿を哀れに思う気持ちもありつつ、「御着(の殿)の様子を探る」「見張る」と言って憚らない恭平パパの所業はけっこう面白いな、と思って見てます。決して心を許してはいないところが戦国です。

恭平パパは、今やすっかり官兵衛の良き片腕であり頼れる後詰なんですよね。深刻な親子の相克など一度もなく、息子が一応、独り立ちしたあとも元気で、あれこれ手助けしてくれる、これも現代っぽい親子の造形で、2014年の大河だなあ、って感じかな。本来、大河といえば、父親という「越えられない大きな壁」を越えていくところに大きなドラマが作られるんですけど、そんなものはハナっから存在しないのよね。