睦月の十六 / Nスペ浅田真央・Eテレ村上春樹

●1月某日: ゆうべはサクが数十分おき(体感)にフゴフゴ言いながらバタ足で暴れ、夫婦して睡眠不足気味。こういうことには大らかな(鈍い)夫も、さすがに3歳半に渾身ぎみのキックをくらうと目が覚めるらしいw 鼻が詰まっててズビズビで寝苦しかったようである。咳も出ている。10月に2度にわたって大暴れして以来の病院。「きょうは どこ いくの? おかいもの?」としつこく聞きつのるのにうん、うん、と頷いておいて、自転車のカゴに乗せた段階で「サクちゃん風邪小僧だから、お買い物の前に病院に行こう」と言うと、当然ながら「えーっ。いかない。いかなくていい」と拒否されたが、諭す。「・・・チクン、ない?」ととの問いに「ない。今日はない」と保証すると、納得したらしい。病院に着くと自転車からも素直におりたし、靴も素直に脱いだし、診察室にもスムースに入り、身を硬くしつつもおとなしく聴診器をあてられていた。マーベラス! かーさん、それだけのことが超うれしいよ〜〜〜(泣)。成長に感動、とかじゃなく、この場合、前回に比べてこんなに手間と労力がかかわらなかった、ラクちんさが単純にうれしい。

日曜日のNHKスペシャルの録画を見る。ソチで金メダルを狙う選手のシリーズ、浅田真央。フィギュアファンから見ればトリプルアクセルに固執しすぎの内容…。しかし本人のこだわりようを見てるとあながち的外れの番組編成ともいえない・・・ww お宝映像もいくつかあった。

  • 今春のNY、曲決めをする様子。ホテルの狭い一室で、タラソワ・ザンナ・真央の3人。タブレット端末で候補の2曲を聞く。ワルツと、ラフマニ2番。聴きながら曲想を語るタラ。頷きつつ、時折目を閉じて体を揺らし、音楽を味わう真央。タラソワもだけど真央も貫録ある〜!
  • NHK杯FSのステップシークエンスで近づいてきた真央さんにリンクサイドから「がんばれ!がんばれ!」と大きな声をかける佐藤信夫コーチ。教え子の演技中というとモロゾフやオーサーといったコーチのエキサイトぶりが頭に浮かぶが、信夫コーチもこんなふうに声掛けするんだね〜。てか、たぶん、みんなそうなんだね。すごくスポーツっぽかった。ランレース中に沿道から声援を送られると力が湧いてくるのと同じなんだろうな。
  • タラソワ・ザンナとともに外国のリンクでFS練習中。すっぴんに黒い練習着で踏むステップが鬼かっこいい! 試合の緊張感はなく、振付師に直に指導されながらなので、動きのひとつひとつが本当に美しくキマッてて、それでいてすばらしく流れていく。リンクにいた人たち(子どもや、男性や…スケート関係者だと思うけど)がそばに来て口々に賞賛する。「滑りからあなたの思いを感じるよ」「あなたのスケートには力がある。天から授かった才能なのよ」微笑んで頷きながら聞く真央の姿にもぐっとくる。

●1月某日: 依然、鼻がタラーと出てくるものの、熱もないし、元気いっぱいのサク。外はあたたかく良い陽気だし、「公園行ってみる?」と聞くと「いく!」とやる気まんまん。「サクちゃん風邪小僧だからちょっとだけね」という注意に「うん。かぜこぞうだから、すべりだいだけね」と神妙にうなずきながら、「ブランコも ちょっと やったら たのしいよ」と付け加えるあたりからも、予想はついていたものの、いざ行くと、帰らない。「もっといっぱいあそぶ〜!」と叫びながら走り回って狭いスペースや高いところに避難し、ついに捕まえられても足を踏ん張る、踏ん張る。見上げた体力、知力、筋力。“やおいかん”って、このことだ。夜ごはん、アジの干物・こんにゃくと角天と葱の炒め煮、小松菜とささみの胡麻和え、かぼちゃサラダ、牛蒡と春菊の味噌汁…と、気づいたら、小料理屋の定食みたいなメニューだった。

Eテレで年末にやっていた「世界が読む村上春樹〜境界を超える文学〜」の録画を見る。世界のさまざまな言語に翻訳されていると知ってはいたけれど、こうして見ると「本当にむちゃくちゃ読まれてるんだなあ」と感嘆。印象的だったのは、春樹文学を「ノルウェイの森」に代表される“リアリズム小説”と「羊をめぐる冒険」に代表される“非リアリズム/ファンタジー小説”に大きく二分するとき、日本をはじめとするアジアでは前者のほうが人気でいわゆる「森高羊低」、ヨーロッパでは逆で「羊高森低」であるという分析。また、アジア人は春樹の小説を「西洋的」と捉えている(作中には西洋の音楽や料理等がよく出てくるし、近現代の純文学とはカラーが違う)が、西洋では「仏教的」「エキゾチック」というイメージがある。物事に白黒をつけないところや、比喩表現に見られる哲学などから。フランスの学生は春樹の文学を一言で言うと、という問いに「庵」と書いていた(漢字で書いていた!)。それは春樹の文学を読むゼミだったんだけど、先生が言っていた「村上春樹を好む学生の多くは、ジブリ作品が好き」という言葉も、驚きだった。