師走の四 / GPファイナル@福岡 開幕!

●12月某日: 午前中、幼稚園プレクラス。おやつの焼き芋をお友だちの女の子に「はい、あーん」で食べさせてもらい続けていたらしい。基本的にびびりのサクだが、最近は、これまで「怖そう」と敬遠していたアスレチックな遊具へのチャレンジ精神が高まっており、たいていは、やる気にさえなれば成功するので、ものすごくうれしそう。必要上にテンションが高く、つまり完全に調子に乗っている。全然、帰ろうとしない。しかし今日は昼寝してくれた、わーい。

さてさて、グランプリファイナル@福岡、開幕! 男子はまさかの自爆大会(約1名除く)。ハン・ヤンにコフトゥン、やっぱり大きな大会で実力を発揮するのは難しいよね…。まだ10代だもん。…って、そこの18歳w なに世界歴代最高得点出してんだwww 今日の「パリ散」のおらおら加減といったらなかった。あれはどう見ても、散歩なんて長閑なもんでないのは確かであるw 99.84点。若くしてシニアに上がってきて、調子のいいとき悪いときはあれど、ファイナル・全日本・ワールドと、大舞台の数を踏んできたキャリアがモノを言ってるなあ、て気がする。演技後、花がゴミのようにリンクに降り注ぎ(笑)、その後のまっちー・Pチャンはガタガタに…。まあPチャンは4-3が成功したので点数は高いんだけどそれでも12点差って、ゆづ、鬼だなw 殿は80点で3位。「ものすごく緊張してて、4回転で転倒して目が覚めました」ってインタビューが「あいわからず、殿よのう」って感じで愛せる。

打って変わって女子は好演技続出! の割に、意外にみんな点数は抑えめだった印象。しっかし66点で憮然としているリプ子ちゃんは頼もしい。リプ子ちゃんにしろコフトゥンにしろ、ロシア大会のときとSSの出方が全然違って、何だか気の毒になる。われらが真央さんは3Aを右足で降りたーーー! で、こちらも72点が「低い」と感じるようになってて(観客がね)、点数出たとき会場からはブーイングらしきものが聞こえた。回転不足と判定されたわけです。でも、演技直後からキスクラまでの真央ちゃんの表情が、それはそれはもう、すばらしくうれしそうで、こんな満足げな真央さん、いつぶりだろう、と胸がいっぱいになりました。

●12月某日: 午前中、育児サークル。来週のクリスマス会の飾りつけを子どもたちと一緒に作る。飾りつけの係さんの事前準備がしっかりしていてスムーズに進む。子どもたちはみんな、切ったり貼ったり描いたりが好き。時間が終わったあと、校庭の遊具で遊ぶ。お友だちを見てむくむくやる気が出てきたらしいサク、初めて、ジャングルジムの一番上まで行けた。私が下からちょっとお尻を持ち上げてやったけどね。シーソーの方にいた子たちのとこまで走っていって「できたよー!」と誇らしげに報告してた。の割に、1回しかチャレンジしなかったのは、やっぱり恐怖もあったらしい(笑)。「きのう何食べた?」最新8巻を読む。年に一度のお楽しみ。シロさんの豪華な京都旅行に不審の思いを重ねたケンジが、「死ぬの?」と心の中で問うとこが最高にウケた。富永さんちのお嬢さんに子どもが生まれたエピソードも、両方とも好き。おばあちゃんになった佳代子さんが「まだまだ新米おばあちゃんよ〜。昔の人は自分の子が4、5人いた上、年の離れた弟妹の世話もしてただろうけど、こっちは30年前にひとり育てただけだもん」と言うところ。よしながふみの書くこういうリアリティうが好きだ。うちもつい最近、この冬初めてのおでんをやったところだったので、シロさんのおでんの作り方を参考に…するようにと、夫にも見せといた(笑)。我が家のおでん担当は夫…。

GPF、男子フリー。昨日とはうってかわって好演技の連発で、フィニッシュ後は満足げな表情の選手たちが見られる。中でも感無量といった感じで涙さえ浮かべるまっちーにはぐっときた。パトリックが王者の風格を見せて190点を叩き出し、これは逆転もあるかと思いきや、ゆづ先輩が193点、トータルではパトリックに15点差をつける完全優勝! 4Sで転倒してこの点数だよ、おそろしすぎる…! 本人も「ちょっと出過ぎでは」のようなことを言っていたけど、まあとにかく強さを感じるプログラムだった。もともと気迫がすごい選手だけども、それが空回りしないでこうまで技術や精神力の向上に繋がっていることに感嘆する。

久しぶりに負けたパトリックのコメントもすごくよかった。「今回は精神面で大変なものがあった。リンクに出ていくのが怖いとすら感じた」「(SP2位から追いかける展開)良い経験になった。ソチでもそうなる可能性はあるのだから」いつも本当に正直に話す選手。彼は自分の内面を言語化ことに対する恐れや迷いがなくて、そのオープンさがアスリートとして良い意味でポジティブに作用しているな、と思う。そしてこの数年、圧倒的な成績でトップに君臨していながら、他の選手たちを尊敬する心に少しも変わりがない。強い選手は、タイプは違えど、やはりメンタルもすばらしい。パトリックの「夏」はすばらしいプログラム。ジャンプもスピンもステップせず、ただ滑っているだけのところでも少しも目が離せないような、息をのむような美しさがある。

優勝しても表情をゆるめることなく「悔しい。もっと上をめざす」と言い切るゆづのあとに、1位に40点近い差をつけられての3位にも満足そうで、「ものすごく緊張してて、4回転で転倒して目が覚めました」と、ニコニコと昨日とまったく同じコメントを言う殿を見ると、「これが1位になる選手とそうでない選手の違いか…」なんて、思わず思っちゃいもするんだけれど、すぐにそうじゃないんだよね、と思いなおす。なんというか…長いスケート人生でいろいろあってここまできて、織田君には今、「笑顔でいること、いられること」が一番の価値なんだよなあ、というか。同じ競技をやっていて、同じ試合で戦っていても、人生はいろいろなのだ。