『リーガルハイ』 第9話

んーあー。そうくるか。古御門のPTSDの発症と克服のくだりは、呪文唱えてる堺さんは超おかしいんだけどさ、シナリオ的に、ずいぶん力技というか雑だなって感じもしたし、まずそれ要らないって思った。すっかり引きこもって幼児退行してた古御門が黛が傷つくや否や颯爽と立ち上がって、彼女のことを法廷で言及するとかさ、そーゆーの要らないんだよね。黛が古御門に影響を与えるのは、いい。自然だと思う。でも、黛のためにああもあからさまに頑張る古御門、ってのがヤだ。それが恋愛感情でないとしても。まあ好みですけど。

(そこらへんを諧謔で包むための、事後の「だまされてることに気づいてた」「だまされてることに気づいていることに気づいてた…」みたいなしっつこい応酬だったと思うし、あーゆーシーンはほんと面白いんだけどね。)

民意についての議論、古御門の演説はとても面白かった。脚本の古沢良太の「怒り方」には共感するところが多い。民意という「虎の威を借りる」「錦の御旗を掲げる」マスコミや民衆、っていうのを見るのがホントに嫌い。猪瀬のことも、追及する必要はもちろんあるけど、そのやり方がただのいじめ、つるし上げだろって感じる。五輪開催決定のときはあんだけ持ち上げといて、よくそこまで手のひら返せるよね、って思う。ちょっと公然とした落ち度があれば、全人格を否定するのに躊躇わない。…って、どんだけ立派な人間なんだ。恥を知れ。

…お、おう。ともかく、堺さんの演技が達者だからってのもあろうけど、セリフを聞いてると、「エンタメとして盛り上げるために」っていより、「あんたマジで怒ってるでしょ」って思えて、圧倒されつつ笑っちゃう。

ただ、羽生の扱いがね〜。その場その場で、善意と独善との間を行き来する不安定なぶれぶれの針が、最後の最後になって独善にぐっと傾いて…って感じだと思ってたら、うーん、先週の闇落ちがなかったかのような、今回途中までのいい人っぷりと、最後の最後で明かされた黒幕っぷり。どうなんだろう。

古御門を「応援します」って言ったり、黛を真剣に心配したりしてるのも彼の本心でないと面白くないわけですよ。や、それは本心で、それと同時並行で、ダイゴ検事に接触してたのかもしれんけど、うーん。そこまで徹底した策謀だと、彼のキャラの魅力が減る気がする。ここまで羽生に期待してた者としては。羽生は「善良な民意」のモンスターで、薄っぺらい善意や理想のために、その場その場でふわふわと小細工をしたり、立ちまわったり、真剣に力を尽くしたりしつつ「人たらし」で民意を巻き込むのが恐ろしさだと思ってたら、米将軍(違)を裏で操ってるとかさー。そういう器じゃなくていいんだよ…。

しかし、ネクサス事務所で黛に問い詰められてる張りつめた横顔の美しさ…(ハナヂ

戻って、民意ってことでいえば、民意をカサに来て黛に暴行を加えた集団…てのもやや乱暴な展開だと思った。シリーズ1でコミカドの術中にハマって入院したのと対照だってのはわかるけども。そういう、過激な集団も怖いんだけど、自らは安全なところにいて、絶対に自分の足はつかませない、さも善良な小市民のような顔をして正論を述べる輩、その集団ヒステリーが一番怖いと思うし。黛と古御門の「アンタの意図なんて気づいてました」応酬はすごく面白かったけどね・・・。田口くんの変顔もww

最終回はシリーズ1同様、最後の最後ではおちゃらけるんだろうし、それがリーガルハイのかわいい羞恥心だとも思うんだけど、羽生については納得のいく筋書き、結論がほしいなあ。しっかし、生瀬&小池ペアって別に役者としては派手な部類でもないのに、出てくるとなると、なんかすごい豪華で贅沢だなって気になりますねww