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『社会の抜け道』を読んで愚考するのこと (1)

社会の抜け道。何やら胡乱なタイトルだが、とても面白い本だったのでおすすめしたい。そして、心に浮かんだよしなしごとを、そこはかとなく書きつづりたいと思います。あやしうこそものぐるほしけれ、な長文なので、分けます。相変わらず、長いだけで構成力とか皆無…。

読書が趣味でありながら、ケチって文庫化を待ったり中古本を探したりしがちなわたくしであるが、定価1,785円で単行本を買いましたのよ。これは「旬」の本であり、今、読むことに価値があると思えたので。

社会の抜け道

社会の抜け道

過日の新聞で「読書に関するシンポジウム」を書き起こした見開きがあり、そのパネリストのひとり古市さんで、同面の下部に、この本の広告が大きく載せてあって、「ぜひ読みたい」と思わされたってわけ。紙面で思考の一端を披歴して著作に誘導するって、超うまい宣伝方法だと思う。なんといっても若い人なので、ネット世代以外…特に新聞世代には無名の存在だと思うから。まあ、実際釣られたのは、30代の私なんですけどねww 

分類すれば社会学の本…ってことになるんだろうが、学問をする人のための本ではないから、予備知識はまったく必要ない。扱われているトピックは具体的なものばかりで、IKEAコストコ、食の安全、スローライフ、保育園問題、反原発デモ、住民投票…こういった中に「あ、気になる」というものがある人ならば、きっと興味深く読めると思う。

ちなみに私は、序盤で展開されるショッピングモールについての対話で、二人の見解、「たくさんのモノが並んでいるけど、強いて買いたいものがあるわけでもないし、帰るときに、何か虚無感のようなものがある」(國分)と、「本当に欲しいものがなくてもいい。あんまり疲れず、お金もかけず、何となく楽しく、ダラーッと過ごせる場所として有意義。僕たちはハレだけを求める存在ではないから」(古市)の両方に「そうそうそう!」と頷いて、一気に引き込まれた。

いろんな読み方ができるんだろうけど、私はこのふたりの「反革命」という立場にとても共感を覚えた。「世の中をガラッと変えようなんて発想じゃダメ」っていう。私、先日まで書いてた小説(笑)の中で、革命を起こしてやったんですけどねwwww 「「革命を起こせ」「革命しかない」って言うけど、歴史を見たって、革命が起きたら悪い方向に行くよ。それを覚悟で言ってるのかい」。ほんと頷く。だからといって、この著者たちが保守ってわけじゃないんだよね。保守/革新という二分法にもはや意味はないよ、と言ってて。結局、「世の中はちょっとずつ変えていくしかない」ってこと。ほんとそうだと思う(頷いてばっかりですが)。

だけど現実には、「ちょっとずつ変えていくしかない」って思想は、なかなか共有されない部分があるなと思う。小泉純一郎の郵政改革、民主党への政権交代、「絆」、2020の五輪開催…私たちはやはり、「ガラッと変わる」ことに飛びつき、「ひとつになれる」ことに熱狂しがちだ。本文中、小泉人気の理由についての考察もすごく興味深かった。(つづく)