フィギュア・ジャパンオープン

FSしか滑らないし、シーズン序盤…というかプロローグ的なお祭りみたいなものっていう感覚が勝手にあるんだけど、なんかすごく胸が熱くなるいいお祭り(?)だった。なんたって高橋大輔浅田真央の両名が名プロを披露! 初戦だしもちろん完璧な演技ではないんだけど、もう、リピートが止まりません! 

真央さんなんてジャンプミスいくつかありつつも135オーバーでPB。滑り終わったあとの本人もすごく満足げだった。今季のFS、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は、バンクーバーシーズンの「鐘」とはまた違った荘厳さをもった音楽。複雑な旋律や重く厚みのある音に全然負けてない。さすが真央。パーンと花開くようなタイミングで跳ぶ3Aや、ステップ直前の華やかなスピン、そしてめくるめくクライマックスに乗って高速回転しながら展開される怒涛のステップ! 昂揚の中で魅せる研ぎ澄まされたスパイラルには狂おしさすら!

高橋大輔のほうはジャンプがめためたでTESが63点しか出なかった(PCSは超良くて、それでも総得点148点)けど、審査員席がみんなスタオベしてたって情報(twitter)はほんとだろうか? や、その気持ちもわかる。ビートルズメドレー、思ってたんと全然違う選曲&アレンジで、しかも序盤の4Tも3Aも転倒するのを見た動揺も手伝って「え、これ? これが五輪シーズン、しかも集大成シーズンのFSなの?」て頭が疑問符でいっぱいになってしまったんだけど、徐々に「なんか・・・よくない?これ?」となって、「In My Life」が流れ始めたところで不覚にも泣きそうに。音楽が終わったとき、私も胸いっぱいだった。

ちょっといいレストランか雑貨屋か何かでかかっているような、上品でシンプルな、もっと言うと地味なアレンジで、曲と曲が自然に繋いであるわけでもなく…こんな曲で(しつこいようだが、五輪シーズンを、しかも集大成シーズンを)滑ろうと思うの、高橋だけだろうなって思ったww でも、こんな上品でシンプルな(もっというと地味な)アレンジだからこそ高橋の良さが際立つ。なんか、スケーティングがまたまた良くなってる気がした。つるーつるーになってた。序盤のyesterdayでは、ふわっと、風を孕んで、風をまとわせながらのようなスケート。転倒してもその風が止まらないのだ! カム・トゥギャザーでは一転、キレのあるターンを繰り返すのがすごくいい。キレだけじゃなくて、リズムと余裕があるんだよね。人はそれを色気というのでしょう…。そしてIn My Lifeからロングアンドワインディングロードの充実感! 笑顔! 最後の厳しい戦いに挑み始めた選手なのに、氷上でこんなに自由になれるってなんなんだろう。五輪でこれやられたら滂沱の涙だよ。てか男子の3枠どうなるの。胃が痛くて仕方がないよ。

渾身の真央、達観の高橋。方向性は全然違うんだけど、“集大成”感がすごい。はぁーホントに集大成なんだな。