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Eテレ「スイッチインタビュー 達人達」 クドカン×葉加瀬太郎

あまちゃん最終週を控えての再放送。見逃していたのでラッキー。すごく面白かった。「あまちゃん」についての言及は限定的である。もともと5月下旬に放送されたもので、ドラマはまだまだ展開していないころだからだ。その後、多くの雑誌や媒体にインタビュー記事が載ったうち、いくつかを私もチェック(立ち読みww)したが、そちらのほうがずっと詳しいと思う。でも、生・宮藤のしゃべりが見られるだけであまファンとしてはうれしいもんでね。てか、たいして喋らなくても、佇まいだけでも既にちょっとうれしい自分がこわいww

インタビュー「する人」と「される人」という固定化された関係ではなく、次々に入れ替わるというスイッチインタビュー。つまりそれって「対談」なのかな?とも思うけど、対談というのは何かしらテーマとかトピックとかについて語る、というイメージで、この番組は、特にこれまで面識もないし、棲んでる業界もまったく違うふたりがいきなり出会って、互いに質問し合うという感じだから、やっぱりスイッチなんだろうな。でも、そういうのって、まかり間違えば非常に気まずい・・・とまではなくても、盛り上がらないんじゃないかなあと思って、これまで、ちょいちょい食指が動きつつも、見たことなかったんだが、さすがクドカンー! そして、葉加瀬! 

43歳のクドカン、45歳の葉加瀬。ふたりとも働き盛りといっていい年齢だろう。もはや駆け出しでも青二才でもなく、けれど大御所化するにはまだ遠い。まさに現役バリバリ、脂が乗ってるなあって感じがした。会話がとてもスムースなのね。会話とかコミュニケーション能力って、絶えず使っていないと衰えるし、使うほどに磨かれていく面があると思うのだけど、ふたりの話を聞いていると、自分の話それ自体ももちろん面白いし、相手の話を聞いて、反応して、咀嚼して、展開していく能力ってのがやっぱりすごい。別に、“達人同士”っていうような緊張感とか熱気があるわけじゃなく、とても自然な・・・というのは、いくぶん、初対面の相手にドギマギしているような雰囲気もありつつ、それでも面白いっていうね。

葉加瀬太郎のことってこれまであんまり考えたことがなかったけど、すごく興味深い人だった。小さいころからバイオリンやってて、18歳までは、たとえば聖子ちゃんとかチェッカーズとかは、テレビで見てはいたけれど、「音楽」だと思っていなかったらしい。
バカにしてるとかそういうんじゃなくて、純粋に、自分がやっている音楽と同じ範疇のものだとは思えなかったと。クラスメートたちが下敷きにアイドルやロックスターの写真を挟んでる中、彼はクラシックの巨匠や奏者の名手の写真を入れていたらしい、ブラームスとか(笑)。そんな彼がロックに目覚めるのが、東京芸大に入り、サークル勧誘で、セックス・ピストルズのコピーをするバンドを見た瞬間。クドカンピストルズ本人たちの演奏じゃなくて、コピーバンドで感動したんですか?」 葉加瀬「そう、コピーバンドで(笑)」ってやりとりが面白かった。

クドカンのほうは、ちょっとした来歴は以前から知ってたとおり。「あまちゃん」のことは、「今、なんとなく美しく語られがちな東北について、自分も宮城出身なので、電車が一時間に一本しかないとか、田舎の冴えなさをそのまま描きたかった、でもいいとこだよね、て外の人に言われたらそうかな〜?っていう感じで。」それから、「いちばん大事なものはいちばん近くにあるものなんじゃないか」というようなことも言ってた。いちばん近く=家族を示唆するような感じ。そういう作風は、やっぱりクドカン自身が、実家とは別に、自分の家庭をもって実感するようになったからだろうなーと思ったりする。人物描写について「たかが15分とか1時間でその人のすべてを描けるわけはないんだから、その人のとある一面をしつこく詳しく描くようにしてる」と語ってたのも面白かった。

いかにもアドリブに見えるような、ライブでのMCの一言一句まで事前に練習している、と葉加瀬がいえば、クドカンもかつてはグループ魂のライブの台本(ここで○○が袖のほうに動いて・・・とか)を事細かく書いていた、と言ったり。互いに、昔の作品を見ると“詰め込み過ぎていて”恥ずかしい、とも言っていた。葉加瀬は自分の昔の曲を、「マフラーもベルトもアクセサリーもじゃらじゃらついているような」と言い、クドカンは自分の昔の作品を「1カットにそんなに詰め込むか、というぐらい…。台本も、数秒に1回ギャグを入れなきゃ」と意気込んでいた、と言う。それは、かつて「そういうふう方法しかとれなかった」のであり、「臆病だったのかも」というところもあり、

今は、ふたりとも口をそろえて「もっとシンプルなのが今は面白い」というようなことを言う。ふたりとも今は古典に取り組んだりもしていて、クドカンは歌舞伎を書くときに「(元になる昔の台本を)読んでいると、なーんで河竹黙阿弥はここでこんなこと書いたんだろ、ていうのが、最初は全然わかんないんだけど、何度も読んでいるうちにふっとわかる瞬間がある」と言う。葉加瀬は若いころから一番好きだったブラームスを、これまで、名演といわれるものはいくらでもあるから、自分がやらなくてもいい・・・ていうかやる隙なんかない、と思ってたけど、今は20年計画で、「自分なりのブラームス」を弾いているところだという。

同じ年頃で、互いに若いころから活躍していて実績もじゅうぶんで、これからの志向にも共通点があって、充実ぶりが眩しいスイッチインタビューだった。あと、「かんぱちゃん」ことクドカンの娘が、今もう8歳になっているそうなのだが、バイオリンを習い始めているとのことで、それも葉加瀬の情熱大陸のテーマがきっかけだそうで、かんぱちゃんが葉加瀬に質問を書いてきてたんだけど、その質問が、さすがクドカンの娘!てなユニークさで、感心しきりだった。大笑いしながら葉加瀬が答えるのを聞いて、すごくうれしそうな笑顔を浮かべてるクドカン。お父さんしてるんだなーとニヤニヤしちゃった。