『八重の桜』 第31話「離縁のわけ」追記

尚−大蔵(浩)のくだり、ちょっと書き足します。

尚之助が詐欺事件に巻き込まれたとき、結果的に「藩は関わりのないこと」という返答をするときの斗南藩の大参事は山川浩だってのは史実なので、その切り捨て描写がどうなるのかは、以前からひそかに注目していました。

浩が八重を思慕しているうえ、尚と八重との熱いシーンにわざわざ居合わせるシーンがあったりしたので、冷や冷やしていたのですが、結果的に、「鬼」発言と、そのときの玉鉄の、真骨頂!ていうものすごい覚悟の顔があったので、ほっとしました。

ていうか、浩が八重を好きだった設定も、このときのためだったんだなーと驚嘆。つまり、尚之助を切り捨てる=八重を悲しませる ことでもあるわけで。

尚と八重との間には、城の一件以来、ディスコミュニケーションも明らかになっているんだけど(それは本当はもっと早くから潜在的に存在していたんだけどね、八重ちゃん、特に三郎戦死以来、娘>妻だったから)、浩から見ると、尚八重は付け入る隙のない絆で結ばれた夫婦なんだよね。八重の激情を受け止めることができるのは尚だけだってのを目の当たりにしてるし、男としては尚が城で八重を置き去りにした気持ちもわかるだろうし、米沢出張でも尚八重の思い(八重さんのための斗南開発 / 今はいけないけど「待っています」)を確認してるし。

そんな尚八重を引き裂く、あるいは八重ごと尚八重を突き落すのが「尚の梯子外し」ってわけで、八重思慕設定があったからこそ、浩自身が、さぞかし痛みを伴う決断だったであろう、と。

八重思慕設定を、「八重に思われてる尚が気に食わねーから、アイツ陥れちゃえ」みたいなお花畑脳の脚本じゃなくてホント良かったです。ホント、そういう脚本になりかねない大河も、いろいろあったんで。