サクことば31 助詞3歳0か月まで〜最初期に出現「の」「も」「は」「と」

助詞が会話に出始めて一年。これまでにも随時、記録してきたけど、一年間の流れをまとめてみたい。


●「の」 2歳ちょっと前ぐらいから出現

  • 「パパの」 洗濯物やコップなどを見て、「パパの○○だ」という意味で所有をあらわす(2歳ちょうど)。
  • 「パパのコップ」「パパのパンツ」と2語を助詞でつなげるようになるまで、2語で言おうとすると「パパ コップ」と、「の」が脱落する傾向にあった。(2歳2か月ごろ)


☆何種類もの誤用が見られた。

  • 「ママ の おっきして」 「ママ、起きて」の意。
  • 「パパ の くれた」 「パパがくれた」の意。(ともに2歳4か月〜2歳半すぎまで、よく出現)

これらは、「ママ “が” 起きる」、「パパ “が” くれた」と、ともに 動作の主体者に「の」をつけている
もともと、「の」には古語的、文語的言い回しの名残で、主格を表わすこともある。たとえば、「母の言うことには」とか「兄の持っていたカバン」のような。それらの感覚が原始的に子どもにも備わっているのだろうか?


☆↑の誤用について、こののち、格助詞「が」を習得してからも、並行して主格に「の」を使っていたが、いつのまにか消えた。2歳8−9か月くらい?

  • 「あかいのくるま」「おっきいのバス」 「形容詞(修飾語)+名詞」の間に過剰に「の」を入れる(2歳すぎから半年以上よく出現)

2歳7か月ごろ、「ちっちゃい ミッフィーの おさら」 「あかい おほしさま くつした」 のように、ひとつの名詞にふたつの修飾語をつけるようになったころ、修飾語がふたつのときは過剰な「の」が出現しないことに気づいた。それ以降、だんだん、2語文においても過剰な「の」は消えていった気がする。主格に「の」を使う用法が消えたのと同じころか?

  • 「おふろ の ごしごしだね」 「お風呂をゴシゴシ洗っているんだね」の意。

あまり数は多くなかったように思うが、目的格に「の」をつけることもあった。やはり2歳前半ごろ。このころは、主格だ目的格だというよりも、習得している助詞の数が少ないため、語と語を何かの助詞でつなごうとしたとき、「の」が口をついて出ていたのかもしれない、と思うようにもなった。



●「も」 2歳2か月ごろから出現

  • 「サクも〜!」 最初の用例。

「自分もやりたい、自分にも見せて」などの意。最初はもっぱらこれが多かった。ちょうど2歳、自分が自分が・・・になってきたころから出現。

その後、順調に「パパもやってよ」 「しまじろうもたべたいって」など、習得。誤用はほとんど皆無。


●「は」 2歳2か月ごろから出現

  • 「これは?」 「これは何?」の意。

最初の用例。それ以前、指さしのジェスチャーのみで「これの名前を言え」と示していたのが、言葉つきになった。

その後、「つぎは しんかんせん(のうた)」、「せいかいは〜?」(クイズごっこ)、「こっちはちょうちょないね」など、2か月ほどでスムーズに発語するようになる。誤用はほとんど皆無。


●「と」 2歳2か月ごろから出現

  • 「サクちゃんとママ」「パパとママとサクちゃん」「でんしゃとひこうきとバス」など、初手からスムーズ。
  • 「パパとパソコンいった」 パソコンの店に行った、の意。「AとB」のような並列でなく、「Aと○○した」のような用法。2歳半ごろから出現。

いずれも、誤用、ほとんど皆無。



気づかされるのは、圧倒的に「の」を多種類の用法で使っているということ。誤用も含めて。
もとより、誤用というのは、親(周囲の日本語習得者)は発することがない。大人のマネではなく、幼児本人の勝手な(というと語弊があるが)創造である。

「が」や「を」を習得していない段階で、それらを意味する助詞を用いたいのであれば、すでに習得している他の助詞、「は」や「も」を用いることがあってもよさそうなものなのに、一貫して、徹底して、「の」なのだ。

推測だけど、うちの子に特有の現象ではない気がする。

幼児の頭の中に、「は」や「も」よりも、「の」のほうが広範囲に使えるもの・・・という言語的直観、感覚があるのではなかろーか?


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