『空飛ぶ広報室』終わりました

はい、久しく感想書いてなかったけど完走しました! 第1話でリタイアしかけたけど、今や「大好きなドラマ」と言える。てか、第1話でハードル下げ過ぎやろ。まあ、その後、こっちが慣れたのかもしれんけど…。

「お?いいやん?」と思えたのは早くも第2話で、空井がメソメソしてばかりのキャラじゃなかったこと・リカがガツガツするばかりのキャラじゃなかったことがわかってストレスがなくなったのと、陸自・海自・空自それぞれをあらわす四字熟語とか、交際費というものが存在しないからコーヒー代も飲み会代もすべて隊員の自腹であるとか、「自衛隊あるある」とでもいうんですかね、トリビアの取り上げ方が面白いな、と。

最初に胸が詰まったのは次の3話で、若かりし頃の柚木が年上男性の部下たちに悩まされて体に変調をきたし、ある日、円形脱毛症ができていることに気づく回想シーン。自分の未熟さが主要因であるにしても、若い女性の“性”が傷つく描写として秀逸で、水野美紀の演技も迫真でちょっと泣けてしまった。

キャラも関係性も仕事も甘い、ピュアすぎるというイメージは変わらないまま、それでも、キャラや関係性にキャッキャ萌えるドラマってのも楽しいよな、綾野くんかわいいよ綾野くんデヘヘ、て感じで気楽に見てたんだけど、気がついたら、彼らのピュアさにハマってしまっててて、9話のラストか、「エレメント」のボールペン握って泣くリカにもらい泣きしてる私が…。

スト2話はもういちいち泣きまくりで、サクも反応しまくり。「ママ〜ないてるの?」 「あ、ママないてる〜どうしたの?」と顔を覗き込まれ、「ママ、はい、ティッシュティッシュ」と渡され、「だいじょうぶだよ、サクがいるからね」と、ふだん自分が泣いたときに親が励ますフレーズを繰り出され、しまいには「だいじょうぶだよ、しんかんせんがいるからね」と謎の応用で慰められていた。まさかこのドラマで「はらちゃん」並に泣こうとは…!

相手のことがすごく素敵に見えるとか、電話がかかってきたときのドキドキとか、ひとことを深読みしちゃうとか、恋愛すらも仕事のモチベーションになるとか、すれちがいの切なさとか、若いころの恋愛初期の気持ちを思い出した。心理的にすごく近い距離になっても、簡単につきあったりしない節制した関係ってのが、またいいのよね。久しぶりに、捻りのない、明るく楽しく爽やかなラブコメを見た気がする。

明るく楽しく爽やかなラブコメのための、ピュアな人たち・ピュアな職場という造形かと思ってた。

そうじゃなかった。自衛隊は、この作品にとって、単なるラブコメの舞台じゃない。その仕事を真摯に描き出す作品だった。確かに、ドラマの自衛隊員たちはすごくデフォルメされてたと思う。幹部だって、組織だって、もっと厳しくてビジネスライクだろうと思う。人間が働くところなんだから、暗部もあるだろう。

だけど、災害や事故に際しての彼らの動きは、ドラマ以上に苛酷で献身的だっただろうと思う。女性隊員も2週間も家に帰らず任務にあたったとか、つらい光景をたくさん目にしたはずだとか、自分も被災者でありながら他を優先するとか…。それが仕事じゃないか、と簡単にはとてもいえない。ドラマよりも純粋で懸命な気持ちがきっと数多くあったはずだ。

おむつや生理用品が不足しても、隊員は被災者向けの支援物資には手を付けなかった、その代り、その状況を予想した全国の自衛隊員が、隊員向けにそういうグッズを送ったとか。松島基地のあらゆるところに赤線で示されている「津波到達ライン」とか。救助でなければ、自衛隊は私有地の石ころひとつ拾えない(=瓦礫や土砂の撤去の手伝いはできない)という法律があるので、苦し紛れの口実を作ってそれをやった、マスコミも皆その苦し紛れの口実を知りながら、糾弾しなかったとか。自分の家族より任務を優先せざるを得ない自衛隊員たちのために、自衛隊OBたちが、行方不明の隊員の家族捜索にあたっていたとか。

10話かけて重ねられてきたピュアな演出は、最終話をすとんと飲み込むための布石だったなと今にして思う。最初から社会派を標ぼうしていたら避けていた視聴者もいっぱいいたはずだ。そういう層に向けて震災を正面から描けたのはすごく意義のあることだったんじゃないか。

空井とリカの絵に描いたようなハッピーエンドが超受け容れられてるのも、見てた人たちみんなの願いを感じられてよかったな。

綾野くんのワンコぶりがもう反則技で…! 臆面も惜しげもなくかわいい演出してくるよな〜と思いつつもまんまと萌えまくってた。対リカもいいんだけど、広報室の中での犬っころ、特に、片山・比嘉との3人組、好きだったな〜。八重の桜では、語らぬ演技、耐える演技で魅せることが多いんだけれど、このドラマでは瞬発力が随所に見られてすごく良かった!
こんなにけなげでかわいくて楽しい役をやることは、もう当分ないだろうな…と思うと録画を消せんwww

ガッキーは「全開ガール」〜「リーガル・ハイ」〜そして「空飛ぶ広報室」と、連ドラ3連発で成長著しいなと。「コードブルー」のころはお人形さんみたいだったけど、今やセリフに気持ちが入ってるから、安心して見てられるのを超えて、揺さぶられるときもある。

終わってみれば皆良かった。おっさんの水野美紀、和ませるムロツヨシ、単細胞っぽい要潤。要さん、昔は王子様みたいな役どころも多かったのにねえ…ww 槇さん役の人の無骨な朴訥さは演技とは思えないほど自然。桐山漣って水嶋ヒロを彷彿させるなと思った。生瀬さんの阿久津が愛しい! 柴田恭兵の鷺坂室長も、あんな上司いないだろって思うけどいたらいいなって思っちまった〜! 定年退職の日、敬礼のままゆっくり歩いてひとりひとりと無言で挨拶を交わすシーン…泣けたわ〜。詐欺師鷺坂が最後はド直球で空井とリカの幸せを叫ぶのもベタだがよかった。「ベタだけど良い」って思えるのって、ドラマ自体が好きってのと、同義だよね。