大河ドラマの視聴率問題を考える(上)

先日、大河感想記事のコメント欄で、chdさまとやりとりさせていただいた内容の抜粋です(chdさま、掲載に不都合がおありでしたら遠慮なくおっしゃってください)。

(chdさまwrote) 視聴率はBSも再放送もカウントしていないし、録画視聴も無視しているから、これだけ録画機材が普及した現在、数年前に比べて数字が落ちるのは当然ですね。BS、再放送、録画視聴すべてを合わせたら20%ぐらいは軽くいっているはずですよ。昨年も今年も。

(エミ wrote)某巨大掲示板の大河視聴率スレッドでは、BSや録画で理論武装すると、必ず「BSも再放送も録画機器も清盛以前の年になかったわけじゃない。条件は同じでも視聴率は明らかに下がっている」と逆襲されるという、永遠のループに陥るんですよね〜(苦笑)

(chdさまwrote) 2011年のアナログ放映中止を機に一気にテレビの買い替えが進み、同時にレコーダーの販売数が飛躍的に伸びています。しかも以前のビデオ・DVDレコーダーと違いHDDレコーダーの扱いやすさや容量の大きさは比較にならず、はっきり言って2011年以前と2012年以降では録画視聴率は比較にならないと思いますね。

そーいえば我が家も2012年にHDDレコーダー買い換えたんでしたわ。確かに録画視聴には拍車がかかりましたね。いまリアルタイムで見てるのってニュースとスポーツぐらいかも。やっぱり録画って便利なんですよ。「子どもが寝てるときに見よう」とか「夜に『あまちゃん』を見たい夫」とか、「一時停止とか巻き戻しとかを駆使したら、子どもが起きてるときにも見逃し・聞き逃しなく見られる!」とかだから。単純に、CM時間がもったいないってのもあるし。

こういうの、タイムシフト視聴っていうんですよね? もうすっかり浸透してますよね。民放のドラマの数字見てても、その影響は感じますよね。やっぱり、今、数字がとれるドラマっていうのは、一話完結モノか、毎日15分ずつやる朝ドラしかないんじゃないか、っていうどこかで見た指摘(なりまさんだったかな)は的確なんでしょう。

「テレビをつけたときにやってる番組から選んで見る」じゃないんですよね。
「自分が見たいものを自分の都合のいい時間に見る」なんですよね。

こういうのはライフスタイルの変化であって、それが良いとか悪いとか私たちは自由な感想をもつことができますけど、そういうものにかかわらず時代は変わっていくものであります。

私の感想としては、先にも書いたようにタイムシフト視聴バンザイですよ。「テレビをつけたときにやってる番組から選んで見る」って、視聴者目線でいったら制約でしかないもん。だいたい、ゴールデンタイムっていうんですかね、19時から21時ぐらいって我が家でも夕食&家族団らんしてますけど、その時間って往々にして、「見たい番組がいっこもない!!!」て叫んで新聞バン!!!と投げつけるアレですよ。キョンキョン@「あまちゃん」ね。そうそう、我が家の夕食どきは、家族で「あまちゃん」の録画見てるんですよ。NHKニュース→「あまちゃん」って流れが多いです。

だから、リアルタイム視聴しなくなっても、家族でテレビ囲んで団らんする図がなくなったわけじゃないですよ。好きな番組を選んでるだけ。てか、別に、家族団らんにテレビ必要なわけでもないし。テレビ消しておしゃべりするのが本来かもしれんし、ごはんとか、週末レジャーとか、散歩とか、ペットを囲むとか、団らんはほかの方法でもいくらでもできるし、そもそも、家族で住んでいない人だっていっぱいいるわけですよね。そんで確か、独居世帯には視聴率の機械って設置されないんですよね?

えーと、何の話でしたっけ。つまり、私にとっての問題は、「こうして(見た目の)視聴率が下がったところで、ドラマ界の今後はどうなってしまうのか」ってことなんですよ。

ドラマを見る人口そのものが大幅に減っているわけじゃないと思うんですね。民放のドラマ見てても、確かに全体的に昔より数字は減ってますが、録画視聴を足せば、せいぜい微減ってとこじゃないかと。てか、そもそも、10年前だって今だって、ドラマを見てる人間が多数派じゃないこともわかってます。多数派じゃないから軽んじられていいとも思わんけど。

で、ドラマを見てる人間としては、今って、すごくドラマを楽しめる時代でうれしいなって思ってます。昔はドラマの感想なんて、せいぜい家族とか友だちとかの中でドラマ見てる人としか共有できなかった。今はtwitterもあるしブログもある。深い感想も、ネタ的な雑談も、読み放題、つぶやき放題、共有し放題! ドラマ天国ですよ!!!

でも、実際、録画では、まんずもってCMなんて見ないわけで〜〜〜。それって作り手にとっては困った話ですよね? やっぱり、

CMが見られていない → スポンサーぷんぷん → お金出すのやめる → ドラマがチャチくなる

っていう負の連鎖反応になりますかね? …って暗くなっちゃうとこなんですけど、今のとこ、ドラマの質が下がっているとは思いません。そら、個々には「なんだこれ」とか「ちょっと数字良すぎない?」ていうものもありますが、それは昔からの話です。私としちゃ、年に5本−6も面白いドラマがあればじゅうぶんです。あ、この数年、「これスゲー良い!!」てものは、押しなべて数字をもうひと盛りしてあげたくなる傾向にある(つまり数字がイメージよりちょっと低い)んですけど、それがちょうど録画視聴分くらいなんですよねきっと。

そんな、「もうひと盛り足りない」数字にかかわらず、粛々と面白いドラマは作られ続けています。東日本大震災から少し時が経ったことで、震災や、死や、失われてしまう悲しみ、そういうものと向き合う作品も見られ、佳作が次々に生まれています。震災は本当に惨く悲しく、もちろん100パーないほうがよかったものです。けれど、未曽有の衝撃に出会ってもなお、生きていかなければならないとき、「よい物語」はすごく必要です。その要請にこたえうるドラマがあるのはすばらしいことだと思います。(つづく)