『最高の離婚』 第2話

密度が濃ゆ〜〜〜い*1 54分。面白いドラマをありがとうございます。

なにげなく書いてもらった地図がすっごく上手でウワーッてなった、とか、学生時代の彼氏が波岡一喜とか父親がガッツさんとか、もう、ディテールがいちいち「くーっ」とくる。脚本もキャスティングもうまいようぅぅぅ。

離婚届を出したと女が言ってるのに、「帰ったら話し合いだ」と思ってるとか、女は別れるとき「死ねばいいのに」とまで思ったというのに「楽しかった、いい思い出だ、あのころの君は素敵だった」と思ってるとか、男と女の脳の違いが如実! これって、よく言われるところの、いわゆる「男は恋の思い出をそれぞれ“名前をつけて保存”する。女はどんどん“上書き保存”していく」ってやつなんだろうけど、その表現の仕方がうますぎる!

まあ、元カノの家にずかずかやってきて「あなたのご主人だいじょうぶなんですか? 何かしてあげたい、あのころの君のように輝いていてほしい」なんて言いに来る光生はどー考えてもおかしくて、灯里バクハツしちゃえ!と思いながら見てはいたんだけど、予想をはるかに超える大爆発でした。「こんな男死ねばいいのに」の破壊力もすごかったけど、そのあとのザ・独白・灯里編。「最終的には旦那の葬式の喪主になれればいいんじゃないかな? 妻って」ですってーーー! 真木よう子の醒めきった目を最大限に生かしたドラマだよーーーっ。場所がサウナってのにも唸ったわ。

で、こうやって灯里と諒の経緯を知ったら、先週、光生が話した結夏とのなれそめ話について「いい思い出だと思います」って灯里が言った感想が思い出された。非常の際の出来心だったとしても、光生と結夏は同じ思いを共有したのがきっかけで夫婦になったんだよね。対照的に、灯里は一方的な思いで結婚してる。「それでいい」って自分に言い聞かせているけど、まあ今後このままで済むはずはなく…。

若い子からおばあちゃんまで全方位的に優しくて愛情を見せるけど、何度会っても初対面みたいな顔をする。ベッドの中で「奥さん?」て怪訝な顔してた描写もあったし、諒は対人面で特殊な性質がある人って設定なのかな。来週・ザ・独白の諒編、くるかな。ハンバーグカレーに喜んだり、鍋の雑炊までおいしく食べたりしてるみたいだから、こっちの夫婦では、灯里の料理がキーになったりするのかな。

光生と結夏のほうでは、第1話で印象的だったのが、それぞれ雑誌を読みながら食事してるふたりが、猫ちゃんを食卓からおろす仕草。あれほど生活習慣の数々で相性の悪い彼らが、あそこではまったく同じやり方、阿吽の呼吸でね。だいたい、かわいがってる猫ちゃんを「あとで取りに来ますから」ってのも、ちょっと違和感あったんだよな。出ていく結夏にかける言葉の最後が「階段、気をつけて」ってのもな〜。相当ウザい光生だけど、結夏にしろ灯里にしろ、どっかでホロッときちゃう瞬間があったってことだよね。歯科助手芹那にも「かわいい」って言われてたけど。

…などなど、ドラマが終わってから反芻したり、想像したりするのも、とっても楽しいドラマです。

結夏の長ぜりふのところ、それを聞いてる瑛太がすばらしかった。いつもながら、“受け”の演技がうまい人ね〜。中井貴一ばりに、演技の隅々までに目を凝らしたいと思わせる役者。

*1:“濃い”を“濃ゆい”というのは九州方言なんでしたっけ?