師走の五

●12月某日: 6時15分、夫がゴルフコンペの雑用係に西へ旅立つ。サクと私は実家へ。着いた瞬間からサクのハッスル劇場が始まる。自宅では映らないBSを実家で堪能。NHKで、勘三郎のこんぴら歌舞伎の特番を再放送していた。ほんの3,4分にダイジェストされていても、「俊寛」で泣ける。金丸座のお客さんもほとんどみんな、涙、涙。特に歌舞伎に詳しいわけでない母も、「見始めたら止まらんわ〜」と夢中に。この奮闘、わずか4,5年前の姿なんだよなあ。ていうか、もういないってのがまだ実感ない。その間もサクは見て見て、おいでおいで、いっしょにあそぼの猛アピールをしている。主に、母に向かって。かわいがってくれる人がいると、ママには目もくれず、抱っこしようとしても「おんり、おんり」と即座にジタバタと抵抗しやがる。しかし電車で帰った今日、この冬いちばんの寒気の中、実家〜駅、駅〜自宅の道のり計2km超を、文句も言わずにトコトコ歩いたのはえらかった。どうせ母がついてきてくれたからだろうが…。帰宅すると、夫が万端、夕食のしたくを整えている。イカとほうれん草のパスタ、豚バラと野菜の中華炒め、缶ホタテ入り野菜サラダ。ごくろうさまです、もぐもぐ。

●12月某日: 起きたときに晴れ間が見えたので、夫が床屋から帰ってきたらあと走ろうかと思っていたら、窓を打つ雨音の激しさ、おそろしい風の声にびびる。なんたる荒天。帰宅した夫、帰りに寄ったスーパーが風で壊れそうだった、と言う。入口付近のレジで10人くらいの順番待ちをして、その間にも自動ドアがひっきりなしに開閉するものだから、山と積まれた特売品が雪崩を打つわ、それを押さえたり修復したりする店員さんたちは殺気立ってるわで、惨憺たる有様だったらしい。午後には少し持ち直してきたので、走る。こんな寒さでも走らなければ、今夜も暴飲暴食なのだ…! サーモン刺、地鶏のたたき、それに夫が朝からコツコツ仕込んだおでんをつまみに飲酒。

●12月某日: キャナルシティ博多へ。後輩へ結婚のお祝い、友だちにちょっとしたクリスマスプレゼントを調達。ランニング用のウエストポーチも5,6年ぶりに新調した。夫と共有しているうちに、ベルトが伸びきっていてのう…。ビストロサンマルクでの昼食、サクが珍しい大食漢ぶり。9月に友だちと来た時にはなかったので新商品なのだろう、塩麹パンがめっちゃおいしかった。買い物レシートをもって「運河鉄道☆スターナイン」とやらに乗りにゆく。この季節、きらきらとイルミネーションを施された機関車ふうの列車がモール内を走っているのだ。夫の膝に乗るサクは、ちょっと緊張気味に、サンタ衣装を来たお兄さんお姉さんに手を振ったり、「がたんごとん」と小さく声を上げている。なんだかんだで長時間滞在してしまった。

ところでどーでもいーことなんですが、こーゆーところに行くと、ものすごく乾燥してるな、って感じるよね。それで次に思うことがいつもふたつあるんだけど、ひとつは、我が家もエアコン使うけど、ここまで乾燥してないよなー、と。お湯を沸かしたり、濡れタオルしたりって、効果あるんだね。もうひとつは、乾燥を感知できるようになったのっていつからだろう?ってこと。子どもの頃はもちろん、高校生、大学生でも全然そんなこと、気にならないっていうか気づかなかったよな。やっぱ25過ぎたぐらいかな。これって、感覚が鋭敏になった(発達した)ということなのか、衰えたというべきか、悩むな、と。