第89回箱根駅伝

今年も、翌年以降の自分のためにメモ。

日体大が優勝。昨年は19位と低迷し、初めてが襷が繋がらなかったことからも、有力視されていなかったようだ。往路は3区の途中までしか見ていなかった私も、ネットで往路優勝を見たときは驚いたし、復路でかえって差が開いたのにはもっと驚いた。復路なんてどのランナーも自信に満ちたような走りで、完勝といってよいと思う。アンカーの4年生・谷永くんがゴールテープを前にして右腕をつきあげ、ユニフォームの胸に描かれた「日本体育大学」の文字を誇らしげに指で示す姿は頼もしかった。3年生の主将にして5区の区間賞をとった服部くんの走りが見られなかったのが心残り。今から来年を楽しみにしておこう。

2位は東洋大。連覇を逃した。けれどそんなもん、そうそう簡単に達成できるもんじゃない。君たちはすごいよ、と観客は思うけれど、ゴールラインで待つ部員たちがお通夜。そうだよね…。この人らにとっては、2番じゃダメだったんだよね。設楽啓太・悠太の双子の兄弟は今年も快走! ただし2区〜3区の戸塚中継所では、日大のベンジャミンがわずか1秒差で啓太をかわし、トップで襷を渡した。ベンジャミンも4年生だ。「良い仲間に恵まれた4年間だった。“がんばる”という言葉を覚えた」と本人が語っている、という話にぐっときた。

もとい、東洋大で9区を走った服部勇馬は1年生。実況が「最初の1キロを2分46秒で入った」と言うのを聞いて、「蔵原カケル*1か!」と突っ込んじゃったんだけど、まさに! 10キロ過ぎから既に顔が苦しげになり、とても最後までもたないだろうと思ったら、結局、区間3位で走りきったのだった。これは来年以降が楽しみ。しかも、高校駅伝で大活躍している年子の弟が、来年、やはり東洋に入学するらしい。

その9区、花の9区を制したのは駒澤大の4年生、上野。駒澤は6区で千葉、10区で後藤田と区間賞をとり、堂々の復路優勝。けれどこちらも優勝候補とみなされていただけに、総合3位でのゴールにも選手たちの顔は複雑。9区といえば、区間2位に入った日体大の矢野くんは、ちょっとダルビッシュ系の顔でイケメンだった。3年生。来年も要チェックや!

9区の裏の2区の区間賞はベンジャミン、3位は設楽啓太で、2位に入ったのがオムワンバ。モグスのあと、山梨学院大にまた頼もしい留学生が入った。早稲田の平賀、駒澤の窪田忍はそれぞれ区間6,7位で、本人たちには不本意だっただろう。

総合順位に話を戻して、4位に帝京大。ゴール前、ラスト100mでの早稲田とのデッドヒートはすごかった。秀逸なツイートがあったので引用します。

RT @mokha_matari 帝京「チラッチラッ」早稲田「…」帝京「チラッチラッチラッ」早稲田「…」帝京「チラッチラッチラッチラッチラッ」早稲田「チラッ」帝京「ダッ」

https://twitter.com/mokha_matari/status/286694439689273345#

まさにこのとおりで、帝京2年の熊崎がぴったり横につけた早稲田2年の田口を2秒に1回ぐらいチラ見すること1分ほども…その執拗な視線を感じなかったはずはないがつとめてスルーしていた早稲田がまんをじしてスパートをかけると、キタ!とばかりに帝京も続き、小学生のかけっこみたいな絵の末に、帝京がハナ差でゴール! 正直、だいぶ前から帝京の人のほうがキツそうに見えたんで、体のブレなく走っていた早稲田が最後は余裕でかわすんじゃないかと思ったが、田口くんもいっぱいいっぱいだったんだねえ。

早稲田の5位は立派だと思うが、監督は「うちの選手たちには危機感が足りない。立川(=予選会)に行ってやりなおしたほうがいいかも」と泣いて語っていたというから驚く。対照的に、帝京は、創部してまだ15年ほどの若いチームで、史上最高タイになる4位だから、ゴール後は大賑わいだった。

6位順天堂大。去年も7位だから、地味に毎年健闘している。7位には明治。9区を走った2年生松井が、後半、脱水症状を起こしたのか明らかにペースを落としふらふらと蛇行。襷ラインに出てきたアンカーの3年生北が驚いたような顔をしつつ「腕ふれ!腕!」とジェスチャーしながら必死に声をかけ、なんとか襷がつながったときにはホッ。…としたのもつかの間、その北自身も最後は体調が悪化していたようでドキドキだったぜ。ちなみに二人は同じ広島・世羅高校の先輩後輩のもよう。

8位は青学。8区では2年生の高橋が青学史上2人目となる区間賞を獲った。10区には、昨年、2区で、設楽(東洋)や村澤(東海)、平賀(早稲田)らなみいる強豪に先んじて区間賞を獲り、チームの躍進に寄与した出岐が登場ということで、楽しみにしていた。箱根のみならず、今年のびわ湖で初マラソンにして2時間10分台、総合9位という記録を残した根性は半端じゃない。けれど結果は区間14位。しばらく前に怪我をしていたとか? 本人は最後の箱根をこんなふうに終わりたくはなかったのだろう、泣きながらゴールしていた。

(追記: 後日、本人のツイートを見ると、ベストを尽くした、4年間に悔いはひとつもない、悔し涙ではなく四年間のことを思い出したり、みんなで走るのはこれが最後だという淋しさや、後ろの監督車からかけられた言葉で、泣けたとのこと…)

9位は法政、10位は中央学院大学。両校とも大健闘で、シード権獲得に沸いていた。今年は2日がかなりの荒天で、5区では強風と急激な気温低下により中央大と城西大の2校が棄権という驚愕のシナリオに。オープン参加になった復路で幻の区間賞が出る一幕も。ただし、日体大は昨年の東洋ほどぶっちぎらなかったので、繰り上げスタートが一度もなかったのにはホッとした。学連選抜はとりあえず今年で最後らしい。

恒例のOB解説にはもちろん柏原さんも来ていた。復路では文化放送でラジオ解説していたらしく、ご本人のTwitterではそちらのほうがのびのびとできたらしいので、聞きたかったことです。

*1:三浦しをん箱根駅伝小説「風が強く吹いている」の主人公。1年生