ひらりと跳べ 4(完)

話はガラリと変わって、イチローヤンキーズ移籍に関して面白いブログを見た。以下、勝手に要約。

弱小チームの平凡なメンバーが猛練習を積んで名門を倒し優勝する、というようなマンガは昔から人気だが、プロスポーツの世界ではそういうことはまずあり得ない。イチローの長年の活躍の影に、MLBでも随一といわれるほど地道なルーティンワークがあるのは有名だが、彼のそういう姿に薫陶を受けるマリナーズの若手はいなかった。それどころか、控え選手は試合中にもロッカールームでカードゲームなんかに興じているらしい。「負けグセ」というのはかくも根深いものなのだ。

常勝を義務づけられているヤンキースのようなチームはモラルが高いし、そういうチームでプレーをしたほうが、イチローにとっては変なストレスも溜まらず、モチベーションが上がるはず。

日本では、下位のチームから強豪チームに移籍する選手に対して、「カネにつられた」とか「裏切り者」とかいうネガティブな論調が必ず出るけれども、プロスポーツの本質がわかっていない。かつて中田英寿ペルージャに在籍していたとき、地元の熱烈なサポーターは「ナカタはもっとビッグクラブでプレーするべき選手」と言っていた。

http://www.plus-blog.sportsnavi.com/ue-kj/article/1033

去年のストーブリーグで、杉内、和田の両エースや、走攻守そろった川崎を失った我がホークスなんだけど、そのとき、不思議と自分の中に悔しさがなかったのを思い出した。当然、戦力ダウンで来季は厳しい戦いになると思ったんだけど、ホークスでじゅうぶんな力をつけ、チームに貢献し、新しいチャレンジのために出ていく彼らを応援したいと思った。たとえ行き先が巨人でも(笑)。今でも、杉内が勝ったとか、ノーヒットノーランとか聞くと、うれしさと同時に誇らしさすら感じる。

この記事には、そういう自然な気持ちを肯定された気がしたし、イチローのようなトップアスリートと自分とを並べて考えるのはあまりにおこがましいけれども、誰にでも通じる話だなと思った。価値観を共有できない相手とか、言葉を尽くしても伝わらないような事態は、多大なストレスになるってだけじゃなく、自分に対する無力感や、「私がおかしいのか?」という懐疑さえ生む。

でも、(大げさな言い方だけれど)自分の信じるものを信じようと思う。イチローですら感化できないチームがあったのだ。相容れないことに囚われるよりも、明るいほうを、自分が目指すほうを向いていたい。もちろん、まだまだ至らない身なので、内省を怠らず、いろいろと精進せねば。

たまたまTLに流れてきたリツイートにも大いに頷けるところがあった。

夢が実現しないのも、物事が良くならないのも、結局は一瞬の「喜怒哀楽」で終わってしまうからなんだよね。「素敵!」「面白い!」「許せん!」「ひどい!」の前後に長?く続く地道な作業には目を向けない。支えない。ミスを許さない。すぐ捨てる。忘れる。科学もスポーツもコミュニティもみんなそう。

こんなに長々と、暑苦しいテンションで書いといてなんですが、ためた力で地を蹴って、ひらりと跳びたい。

※これで完・・・のつもりだったんだけど、書いてる最中にまたいろいろ思うところもあったので、後日、別項で付記を書くかも。