2012 ロンドンオリンピック: 8月8日【陸上競技】

円盤投げとか800mとか110m障害とかを地上波でやらなかった、と昨日のlogで泣きごと書いたが、まさか女子200の準決勝をやらないとは夢にも思わず、「あれ? 決勝って明日の朝じゃない?」と気づいたときの絶望よ。録画やハイライトですら映さないってどういうことよ、各局?! あれか、福島千里が通過しなかったら、もう見向きもしないってことか。だとしたら彼女にも責任はある(←悲しみのあまり混乱中)。

泣く泣くネットで結果を見、有力どころはそろって通過してることを確認。今朝の決勝に備えたのでした。アリソンの準決勝のゴール前だけ、フジでチラッと映った。変わらず好調そう。ジーターの予選のときと同じく、長袖・長ズボンのウェアで走ってた。

●女子200m決勝: スタートラインが超豪華! 解説の朝原さん、「金メダリストたちが勢揃い…過去の大会も合わせると…」と言いさしてから、数えるのが面倒になったのか「ほとんどですね」と大雑把過ぎるカウント。正確には8人中5人です(世界選手権の金メダリスト含む)。いやー、いいですね。息もつかせぬスプリント競走に、このまったりした朝原解説というギャップが、もうすっかり体になじんでいます。特に、今大会、メインレースをやるのって日本時間で早朝5時過ぎだから、起きぬけにあのまったりさ加減。非常にありがたい。

さてこの種目の昨今の成績をおさらいしておくと、麗しのアリソン・フェリックスの「勝ちまくってる印象」(為末談)があるんだけど、実はベロニカ・キャンベル・ブラウン(ジャマイカ)が三連覇に王手をかけてる戦いなんですね〜。

てわけで、五輪はベロニカの2連覇中。世界選手権ではアリソンが3連覇。まあとにかくこのふたりは自他共に認める好敵手。年はベロニカのほうが3つ上で、30歳になっている彼女の方がちょっと不利…?と思いきや、直近のテグで勝ったのは彼女。観客にとって、女子200という種目はかくも幸福な時代が長く続いているのである。

Set…Go! ジーター、フレーザーあたりがいいスタート! そのままコーナーに入り、出てきたときには、あ、もうフレーザー、ジーター、アリソン、キャンベルが並んでる。フレーザーが伸びる! けど外からアリソン、アリソン! なんだかゆっくりと走っているように見えるのに、一歩ごとにどんどん差が広がっていく、という彼女独特の大きな走りでゴール!! 2位とは0.2秒近い差があったので走った本人にも勝利はハッキリとわかっていて、すぐに両手を高く上げてにっこりと笑った。ああ、なんて麗しい人! おめでとう、ついにオリンピック女王!

2位には100の金メダリスト、フレーザーが入った。もういっぱいいっぱいかな、と見えて踏みとどまる強さ。彼女はこの大会、ほんとに好調。自己新だったらしく、満足そうな銀メダルだった。3着はテグ大会でこの種目の2位に入ったジーター。ベロニカはメダルに届かなかった。確かに、予選でもリエミネンやスマレに後んじて3着だったもんなあ。疲れだろうか。

びっくりしたのは5位のサンヤ・リチャーズ・ロスで、スタートラインでは朝原さんも「もっとも不気味な存在ですね」と言っていた400mの金メダリスト。本職は400だけど、200の予選でもとても好調そうだった。初動の速さでは100を走るスプリンターたちにはもちろん劣り、コーナーを回りきったところではひとりだいぶ遅れていたんだけど、そこからエラい勢いで伸びて、あわやベロニカに届くんじゃないかってほどだった。さすが400の選手はスピード維持力がすごい。

なんにせよ、強く美しい女たちはそれぞれ死力を尽くしたのだろう、誰もがすぐにお互いをたたえ合うハグを交わし合い、笑顔で観客席に手を挙げ、手を振る姿がうれしかった。もう一度言う、アリソンおめでとー! 走るあなたは美しい。そして100mのあとで気づいたんだけど、私、ずっと前からフレイザーの顔に妙に惹かれるな、て思ったら、この人の顔ってなんか亀ちゃん、もとい猿之助を彷彿とさせるのよ! 特に口元!

●男子200m準決勝: 1組にいきなりイケメン登場! きゃいきゃい。でもこの組、ブレークはいるわスピアモンはいるわでいきなりハイレベルなんだけど、イケメンよ、だいじょうぶか…? 心配は的中。後塵を拝すると、ルメートルの走り方って、ちょっと情けなく見えるのよね…でも、イケメンだけに、そんなところもかわいい☆ 3着ではあったけれども(2着までが着順通過)、2着とコンマ100分の1秒差の3着だったんで、まずはひと安心。イケメンの写真は前日の記事をご参照あれ☆

2組にはボルト。ジャージを脱ぎ始めた彼を見て朝原さん、「予選(の好調さ)を見ると、今回もまだまだ本気は出さないでしょうが、彼の走りが見られることがうれしいですね」って、まさに陸上ファンを代弁するコメント! はたして、ぴたりとした良いスタートだったのでなおさら、ひとりジョギング状態のボルトだった。「らくらく走ってますね」「(2着の小柄な南アの選手と)大人と子供の勝負みたいになってますね」

3組はオランダのマルティナ、ジャマイカのウェイルが1,2位。ウェイルが最後、脱力して2着になったんだけど、朝原さんいわく「流したような顔をしてますが、今日の彼は全体的に固かった。きのうの予選の方が良い走りだった」と。シロウトが見ただけではわかんないこういう解説は面白い。

高平、高瀬はここで敗退。しかし高平、スタートラインでコールされたときは見せ場だったな〜w なんだ、あの悪そうな煽りポーズww。そういうところも、塚ポンあたりからの薫陶を受けてるのかねwww レース直後のインタビュー、冒頭は本当に悔しそうで涙すら滲んでいるようだったものの、じょじょに舌のエンジンがかかって饒舌になるところといい、彼の「トラックのリーダー」っぷりが、何だか勝手に愛おしい。リレーがんばってー!

●男子110mハードル準決勝: ハードルって本当に難しい競技ですね。障害のない100や200なら、メダル候補と言われる選手たちは、予選や準決勝では力を温存して臨むもんだけど、歩数問題もあるし、接触問題もあるから、そうはいかない。せめてさ、1レーンずつ空けてさ、組数を倍にするってわけにはいかないんだろうか、そうしたら隣の選手との接触リスクはかなり軽減するし…て、そんなことしたら面白さも半減ですよねすみません。とにかく難しい競技で、1位で抜けた選手に対しても、「中盤、詰まってましたね」「まだまだですね」「このミスは決勝では致命的ですね」と解説者はダメ出しの嵐。どーなる決勝?!

●男子110mハードル決勝: ということで、時間をおいて決勝です。「予選・準決勝でいちばん調子が良さそうに見えた」と解説者や為末さんが口をそろえるアメリカのアリエス・メリットが戴冠! 2着には、同じくアメリカ、テグ王者でもあるリチャードソンが入った。メリットさんは顔のパーツがぎゅっと中央に寄ってて、リチャードソンさんは見事なドレッドで、覚えやすいですね〜。

ってふざけてすんません。かつてこの種目はアメリカが表彰台を独占することも珍しくなかった、それがゼロ年代は全然勝てなかった。劉翔(中国)やロブレス(キューバ)、そしてジャマイカ勢の台頭ですな。今回はアメリカの復権が示された! 為末さんいわく、「アメリカの腕のまわし方が変わった」とのこと。以前は、腕を下から振り上げる形でハードルを跳んでいたのが、今大会では、上から腕で押さえ込むようにしていたとのこと。

ロブレスは5台めあたりだったか、右太もも裏を押さえ、走るのをやめた。リザルトを見ると「失格」になっている。ほんとに、天国か地獄か差の激しい、難しい種目だ…。

●男子走り高跳び決勝: 前日に行われた決勝を、ほんのさわりだけ、紹介してた。すげー面白そうな試合だったぞ! なんでやらないんだ各局−! アメリカのキナードが2m33を跳ぶも、そのプレッシャーをものともせずにロシアのユコフ、何食わぬ顔でバーの高さを36に上げ、1回でクリア。さらに38もクリア。それを受けたキナードは、勝負をかけてバーを40に上げるが、ついにクリアかなわずゲームセット。てか、ロシアのユコフの風貌が好き…! 棒高跳びのフッカーといい、白人で彫りが深くて、金髪・巻き髪・長髪、しかも真ん中分けってのに弱い自分をつくづく感じる…。若いころ、'60〜'70ロックにハマッていた名残がこんなところに…?

閑話休題、この日はそのハイジャンプの表彰台をライブで映してた。びっくりしたのは3位の表彰台がぎゅうぎゅうになっていたこと! 同じ高さを同じ試技数でクリアした人が3人いたということで、そこは順位決定戦をしないところがジャンプ競技なんですね。カタール、カナダ、イギリスと、国も地域も全然違う3人が、表彰台の上、笑顔でずーっとぺちゃくちゃお喋りしてて、むちゃくちゃ微笑ましかった。おまいら仲いーな!

●男子やり投げ予選: 陸上に関してはフジの煽りVTRもまぁまぁ使えます。前哨戦を派手にテレビでやることもないからさ。全日本選手権で、早稲田大のディーン元気に14連覇を阻まれた村上(ベルリン世界選手権のメダリスト)が、「悔しいけれど、刺激を受けたし、ほっとした部分もある」というコメントをするシーンではぐっときた。日本のやり投げ業界(?)を長年一手に背負ってきたことで、「プライドとかプレッシャーとか、溜まっていくものがものすごくあるだろうから、解放されたのでは」と為末も慮ってた。

しかし村上は終始、固い投てきで予選敗退。ベルリンの歓喜の記憶も鮮やかなので、悲しい。代わって、全日本選手権の勢いそのままにディーン元気は躍動! 1投目は「投げ急いだ」ものの、2投目で82mを超えて早々に予選突破! やり投げでは、82mを超えれば自動的に通過、超えられなくても各組上位6人までが決勝に行けます。ディーン元気の記録はB組堂々の4位! これは、面白くなってまいりましたー!

なんたって、初めてのオリンピックで、1投目はあんなにパッとしなかったのに、2投目であっさり修正してみせるところに、器のデカさを感じる。インタビューもすごくあっけらかんとしてて、まあその辺が、“考えすぎない”初出場の良さなのかもしれないけど、誰にでもできることではない。

さてさて、やり投げ界どころか陸上界を代表するイケメン・ノルウェーのトルキルドセン(写真は前日の記事をご参照あれ☆)を筆頭に、フィンランドのピトカマキ、チェコのベセリーなど、おなじみの有力どころは大投てきで通過。ドイツのゾルド、リザルトを見ると「失格」になってるけど…どうしました…? その辺、放送してくれなかったからさ…。