『平清盛』 第27話「宿命の対決」追記

再放送で再見。1回目では「え、え、え?」と戸惑いを拭いきれずに見ていた一騎打ち、2回目見ると、本当にすばらしい、とびきり胸が熱くなる、そして痛くなるシーンだったな、と。

あの二人は本当に宿敵と書いてマブダチと読む関係で、あの一騎打ちの絵としては、まるで高校生同士の河原での喧嘩なのに、実はもはや勝敗は決していて、義朝とその妻子まで含めて、くっきりと命運が尽きている。

絵とは裏腹の、その「現実」を思ったとき、ものすごい残酷さ、悲しさが胸に迫ってくる。

あんなすばらしい殺陣を演じることのできる、あの屈強な、躍動する体がもうすぐ滅びる。互いにそれをどうすることもできない。その悲しみ、悔しさを、ふたりきりで分かち合った、ふたり。

今生でもう会えないのはわかっているのに「また会おう」と言わずにいられない義朝。勝利を手中にしながらもはや一言もなく、比べ馬のときよりも悔しげな顔で、あのときと同じように座りこんで義朝を見送る清盛。

私は基本的に時代劇は時代劇の文法で描いてほしいなと思うたちで、だから二人は直接剣を合わせるにしても、「風林火山」の川中島での亀ちゃん vs ガクトくらいの描写にとどめてほしかったなと思ってた。あくまで一門の棟梁という立場からは逸脱せず、「もはやあのころのようにガチで取っ組み合うことはできない」という描写で、歳月を感じさせるのが時代劇の王道だと思ってた。

でも、このドラマがここで「少年マンガ」の文法を持ち出した意味が、再見でわかった気がする。一見、荒唐無稽なようで、歴史のもつドラマチックさといたましさを、実はすごくダイレクトに見せたシーンだったなと思う。