『ゼラニウム』 堀江敏幸
- 作者: 堀江敏幸
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2010/09/22
- メディア: 文庫
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というわけで、芥川賞作家のご紹介(?)です。堀江さんの小説を読むのはこれが初めて。短編集。ひとつめの話を読み終わって思ったのは、「なんて頭いい文章を書く人なんだ!」。すべての話を最後まで読み終わって思ったのは、「この人、頭良すぎ!」。頭の悪い感想ですみません。しかしwikipediaで調べたところ、なんとこの人、東大で博士課程まで行ってて、今は早稲田の教授だというから、私ったら全然正しいじゃないですか!
こんなにも緻密で精巧な文章と構成をもって書いてあるのに、こんなにも「何ごとも語らず、ただほのめかすのみ」っていうのが凄い。すべてものすごく変わった設定で、「それで、どういう話なの?」と食いつく人に、これこれ、こうなって…と話すと、「そ、それだけ? それのどこが面白いの?」て言われそうだけど、この面白さは実際に読まないとわかりません。
鬱屈や戸惑い、詰んでいる感じが充満しつつも、どこかユーモラスで官能的。まるで、ふだん使わない筋肉を使ったような、いつもは見えてない「第3の目」がひらいたような、自分までちょっと頭良くなった気がするような、新鮮で知的な読書体験だった。
この人の芥川賞受賞作のタイトル、『熊の敷石』ですってよ。中身の想像がつかなさすぎてウケる。
*1:最近は、2回連続=西村さんと田中さんというユニークなキャラクターが脚光を浴びたけど