『リーガル・ハイ』 第4話

におうっ! におうよ、名作のかほりがぷんぷんと…。

大手ゼネコンというステレオタイプな悪役の下請をして必死に生活を守っている、という深イイ話…は古美門センセイの口からでまかせで、だけど見えない真実なんていくらでもあり、正義の在処はますます謎に…

ていう寺田工務店のくだりもサイコーだったけど、そのあと、いずれひとりで日照権のために戦うのだろうと思われた村井美樹が、20万の和解金でケリをつけることに賛成の挙手をするところでも、なんか見ててカーッとこみあげてくるもんがあったね。

初回から、殺人事件、盗作、ストーカー(&ファンの度が過ぎた野次)と、いかにもな「事件」を扱ってきたけれど、ここで非常に等身大なトピック。よって法廷もナシ。このドラマって、「ドラマを見てる私だけが気づく、世の中の欺瞞」みたいなのをちょこっとだけ垣間見せるのも視聴者の快感に大きく寄与しているのだけど、今回の、“見た目、善良な小市民たちとて、一皮めくれば…”ていうので、一気に自分の足元がぐらつく感じがするものよかった。古美門がガッキーを「上から目線」と断じるシーンがあったけど、あれはとても挑戦的なセリフだよね。視聴者に向かって言ってるようでもあって。

自らが打ちこんだ楔とはいえ、反対派の住民たちが20万で手を打とうと言い出す姿を見る古美門の表情。普通に見たら「ほらね」「こんなもんでしょ」って感じなんだろうけど、なんか深いんだよね。人のこういう剥きだしの姿を嫌になるほど見て、今の古美門ができあがったのかなーとか思ったり。その後、負けた大貫弁護士から「これで(儲かって)満足か」と聞かれると、打って変わって真摯な表情になるとこも、深い。こういう役者の表情は、本で指示してあるんだろうか。撮るほうの演出なんだろうか。堺さんの演技プランなのか。

片や、庶民の味方との声の名高い、人権弁護士。片や、庶民の敵でしかない拝金主義の悪徳弁護士。けれど、それぞれが信じる「正義」のために戦っているだけで、そこには何の差もないんだ、ということ、そのことを本人たちはよくわかっている、というこが、あのやりとり、大貫「満足か」、古美門「はい(真摯ににっこり)」、大貫「なら、それでいい(満足げ、すがすがしく)」ですごくよく現れてた。

そして、「そうだよね、世の中ってそうだよね。きれいごとじゃないよね」と視聴者を納得させたうえで炸裂する、ガッキー黛の「あなたを倒します」宣言。並のドラマなら、これを初回で言わせて「あー、若っちょろい正義感でキャンキャン吠えてるわ」と若干萎えさせるか、あるいは9話目くらいで対決姿勢にもっていって最終回までそれで押すか、って気がするけど、ここで、ここでそれを言わせるか!

正義とは、真実とは、とここまでシビアなものを提示しといて、さらにその上を目指すって言ってるわけでしょ? なんとも気宇壮大なドラマじゃないか!と胸熱。こんなん書いてると、見てない人は「なんかいろいろめんどくさいドラマなの?」と思うかもしれないけど、実際おそるべき痛快さだからね。自分の日照権を侵害されたら即訴訟にもっていこうとする古美門、という今回のオチもきれいにつけて、もう、感嘆のため息をもらすしかなーい。