『平清盛』 第3話「源平の御曹司」

大河ドラマの主人公が思い込んだら一直線の猪突猛進型なのはお約束だけど、それが全然許されていないってのが今年のいいとこですね。がきんちょ清盛にはさすがに辟易とせざるをえないんだけども、完膚なきまでに叩きのめしてくれるお父さん忠盛がいるのでOKです。近年、愛だの革命だの、お題目を唱えるばかりの単細胞主人公を持ち上げながら進んでいく大河が多くてほとほと困り果ててましたからね。

清盛ったら、強引に勝負を挑んでおいてあっさり落馬し、「わーんわーん、俺なんていらない子なんだ〜〜〜」でしたっけ? もう見てられないほどのおバカさんなんだけど、そこで馬首を返して歩み寄ってくる玉木宏のかっこよさよ! 

玉木宏については、わたくし、のだめ時にきゃいのきゃいの言うておりました。んで、『篤姫』で龍馬をやったときは、すでに若干、痩せすぎじゃないかという印象だったし、あの龍馬はニヤニヤしすぎだった気がしますが、それでも「この人、時代劇似合うな〜」と思うちょりました。声がいいしね。ただ、演技がうまいのかどうかの判断は留保していたところがあり、そのまま、お見かけする機会があまりなく、Mステかなんかで青いスーツ着て歌ってるのを見て激しく疑問をもったのが去年くらいだった気がするんですが、ここにきて! ここにきて再萌え!

年の割りに皺が多くてやっぱりそこは痩せすぎなんじゃないかと、忍者みたいなカッコで初登場してた武者丸時代には思ったんだけど、元服をすませた今回、このころの源氏の悲哀を感じさせていいなと思った。とても精悍で颯爽としていて、武門の御曹司として大志をもっているんだけど、早くもちょっとやつれているっていう・・・。はきはきしたセリフまわしも、最後の「見られたくなかったから振り返らなかった」止められない笑顔も、「ほへー」と口あけて見送っちゃうかっこよさだった。

イヤミじゃなくいい意味で、今の時期は完全に「少年マンガ大河」として見てるもん。作っているほうも、絶対「ワンピース」意識してると思うし。であれば、必要なのは文句なしにかっこいいライバル!

大河ってどうも、秀吉に対するがんまく(石川五右衛門)とか、山内一豊に対する六平太とか、龍馬に対する弥太郎とか、モーツァルトに対するサリエリ的というか、いかにもな引き立て役を配するきらいがあるけど、ライバルだって強くてかっこいいほうが絶対面白いよね! 

まさに風采の上がらない現在の源氏の長・為義に比べて、ずいぶんできた息子っぽい義朝だけど、前述のとおり「俺なんて俺なんて〜〜〜」の駄々っ子清盛に対し、追い討ちをかけているようではあるが実はすっかり喋りすぎ、結果、焚きつけて励ましちゃってるっていう、その構図がいかにも少年マンガ的でもあり、同時に「あのお父さん譲りね、どこかお人よしっぽい、爪の甘い感じは・・・」とも思わせて、笑っちゃいました。

ここから這い上がっていくための連続KOを受けた清盛が、北面の武士の衣裳をつけて登場するラストもわくわくした! 位人臣を極めていく清盛の扮装の変遷は相当なバリエーションになると思われて、楽しみ。

清盛といい義朝といい、少年期ということもあって、台詞回しがかなり現代調ななか、貴一さんの忠盛が重厚さを増していってるのでバランスがとれてる。鳥羽とたま子もどんどんやっちゃってください。こんな変態夫婦は、『太平記』の北村一輝寺島しのぶ夫妻以来だわ! 鳥羽・三上博史のメイクが晩年のマイケル・ジャクソンっぽい。たま子・壇れいはいつも顔が傾いてるっていうのが高貴かつ不思議ちゃんの演技としてすごくわかりやすい。