師走の七

●12月某日: 夫、有休。今秋オープンした“第2キャナル”ことキャナルシティ博多イーストビルに初めて行く。平日ながらなかなかの人出で、特に九州初上陸となるH&Mでは、店内用のショッピングバッグにわんさか商品を入れて歩いている人も多し。しかし私たちの盛り上がりが最高潮に達したのは、その後に行った従来からあるサウスビルにおいてであった。ユニクロもGAPもいくつも持ってるけど、H&Mもいいけど、ときめきは感じないもんなあ。サク、施設内をそぞろ歩いていたモノホンっぽいサンタさんに怯える。一緒に写真を撮ってくれる。親は笑顔、子どもは泣き顔でチーズ!

思わず財布の紐を緩めたあとは、原鶴温泉を目指す。数ある九州の温泉地の中でも、今日び、黒川や湯布院に比べるとさびれている感も否めないが、私はこういう小さな温泉郷が好きで、しかも今日の宿は予想よりずっと趣味が良かった。大浴場も超いい感じで、浸かった瞬間、「温泉、フォー!」と小さくガッツポーズだったよ。男湯のほうは温泉を堪能するどころではなかったらしく、生まれて初めての大浴場に固まり、途中から泣き出して、脱衣所に戻っても激しく暴れるサクにおむつをつけることもできず(普段はおむつ換えなど朝メシ前な夫なのに)、バスタオルで裸んぼうのサクをくるんで走って部屋に戻ったとのこと。すまんな。机いっぱいに展開される夕食の器のひとつひとつや、何度にもわたってそれを運んでくる仲居さんにちょっかいを出しまくりのサクをなだめたりすかしたりしながらの夕食も、とても落ち着いて堪能するわけにはいかなかったけど、こういうのも思い出なんだろうなと思う。夕食のあと、露天風呂に入りに行った。気温は推定5度! なんたる贅沢。

●12月某日: 朝メシ前に朝風呂。温泉のある国に生まれた幸福よ。朝食は、基本の和セット+和洋のバイキング。基本だけでもじゅうぶんな種類はあったのだが、そこは30代になっても食いしん坊なのであれこれ手を出し胃におさめて楽しむ。ジャムやシフォンケーキに手作り感があるとか、納豆の粒がすごく大きくてしっかりしているとか、バイキングの器やグラスが安っぽくない(し、高級でもない。とても温かみのある器)とか、いちいち心をくすぐられる。小さい子連れだからだろう、食堂の中でも半個室になっているところに通してもらったのも有り難かった。チェックアウトしていると、リタイアしたばかり?と思しき年代の女性客が、スタッフに「1月3日は空いてるかしら?」と聞いている。「はい、ただ、いつものお部屋ではございませんが・・・」「空いてればどこでもいいのよ」「申し訳ありません。では、次は29日、その次が来年3日ですね」「ええ、よろしくね」って、どんだけ常連〜! うらやまし杉。「上階の露天風呂つきの部屋が常宿なんだろうな」と、あとで夫とこそこそ話す。コーヒーサービスを受けて撤収し、道の駅でたんまり野菜を買い込んで帰途に着く。その野菜で夜は鍋。