面白いドラマをありがとうアワード2011

id:einfall さんのわが意を得たりな企画(面白いドラマをありがとうアワード2011)を見つけたので参加します! こんな締め切り間近に回答しておいてなんですが、ドラマ好きなみなさんの回答もたくさん見たいです!

1.2011年にテレビでオンエアされたドラマで面白かったもの3つ

●『それでも、生きてゆく
放送期間が終わってしばらく経った今、あのドラマをなんと表現していいか悩む。毎週打ちのめされつつ、夢中で見てた。被害者家族と加害者家族が歩み寄ってゆく様子、特に被害者の兄・瑛太と加害者の妹・満島ひかりが惹かれあっていく様子が必然と思えたし、最終回のふたりのデートなんか、こっちの胸がはちきれそうだった。そしてラストの手紙のやりとりに号泣(というか、このドラマで何度号泣したか・・・)。脚本最高。役者最高。演出最高。美術・音楽最高。ラスト2回、タイトルの意味が自分なりに咀嚼できたとき、そして、この重苦しい筋書きのドラマがこんなに人間を肯定できることに心から感動した。心から感動したけど「このドラマは泣けるよ」みたいな薦め方はしたくない、してほしくない、でもそんなに敷居が高いドラマじゃないよ・・・ていう奇跡のドラマ。視聴率が悪くて、最終回も延長なしだったけど、通常時間でここまで感動させてくれるってことにまた感動。

●『カーネーション』前半
それでも、生きてゆく」が終わって、こんな傑作は5年にいっぺんくらいしか見られないだろーなー、とフテてたら、負けず劣らずの傑作が始まってあんぐり。これが朝ドラってのがいまだに信じられないレベル。説明的セリフや演出の少なさは忙しい朝の時間にながら見するっていう前提から完全に解き放たれてるし、主人公のいい子ちゃんじゃなさも異常だが、脚本最高、役者最高、演出最高、美術・音楽最高(手抜き表現の繰り返し)なんで、吸引力が半端じゃない。後半は失速するのが常の朝ドラにあって、来年もこの水準が保てたら伝説になる。

●『11人もいる!
安心のクドカンブランドと思って見始めたんだけど、笑ってホッコリしてうまいなぁと感心して、というだけじゃなく、すごく「あとを引く」ものがあった。声高に主張せず、大概笑わせるのに、これだけ考えさせるものを書くって、クドカンまだまだ進化中だなーと。いち早く震災を描いたこと、しかもその描き方にも勇気も感じたし、思い切った最終回にも驚かされた。「これでどーにかなるのか?!」とも思えたキャスティングがしっかり家族してた。ドライブ感のある主題歌も、星野源の歌も良かった、毎週楽しみだった。

2.2011年ベスト脚本家

渡辺あやカーネーション)。映画や単発モノでは定評のあった彼女だが、連続ドラマ、しかもいきなりの長丁場でさてどうだろうと思ったら、いきなり度肝を抜く名作を突きつけてきました。ここまで媚びずに作風を貫くって糸子ばりの図太さです。心斎橋百貨店の制服作りのような成功譚、親子や祖父母・孫など人間同士の細かい交情、お父ちゃんの死など劇的なシークエンスもさることながら、徐々に悪化していく戦況とか、親や祖父母が年をとっていくとか、なだらかな流れの描き方もうまい。伏線の質量もすごい。人物がみんな生きている。この人、向田邦子を越えるんじゃないかしら?!と期待しています。

3.2011年素敵だった役者さんたち

●瑛太(それでも、生きてゆく)。大竹しのぶ満島ひかりを始めとした名優たちの中心にあって、臆することなくドラマを牽引する姿には風格すら。

尾野真千子カーネーション)。演技をしてる感じがしない。糸ちゃんにしか思えない。すべての表情が生き生きしてる。

宮沢りえ(江)。メッタメタなドラマにあって、あの緊張感あふれる演技がどれだけ救いになったか。せりふのひとつひとつが女優だった。

松田翔太ドン★キホーテ)。ドスのきいたセリフまわし、情けない顔や調子に乗った格好、新しい翔太さんが目白押し。二枚目(死語)な役柄じゃないのに、翔太史上で一番萌えました。

富司純子てっぱん)。初音さんが口をひらくごとにほれぼれ。「てっぱん」は美織ちゃんも安田成美もエキデン(長田成哉)も良かったけど、視聴のいちばんの原動力は確実にこの方だった。

●神木龍之介(11人もいる!)。うまいのは知ってたはずなのに新鮮な驚きがあった。大人になった神木きゅんに、きゅんきゅんしっぱなし。演じることが本当に好きなんだなーと思う。

小林薫麻生祐未カーネーション)。家長として君臨する暴君だけど商才は無く小心者、かつ、お調子者、でも人情家のお父ちゃん。お嬢さん育ちでも貧乏暮らしも厭わず、夫が大好きで、ぼーっとしてるようだけど見るとこは見てる明るいお母ちゃん。両親とも娘への愛情は海より深い。破綻してもおかしくないほどの多面性を見事に表現。正直、ふたりとも、これほど上手い役者だとは思ってなかった。

●杏(妖怪人間ベム)。第一話で初めてそのビジュアルとセリフまわしに触れたときは驚愕だった。当たり役すぎて今後が心配になるほどだけど、来年の「平清盛」での北条政子役のビジュアルにも痺れてます。

石原さとみブルドクター)。いつのまにかケツをまくった演技がすっかり板についている。来年もはっちゃけちゃってください。タイヤとか、コッコアポとかのCMでのはっちゃけっぷりも好きです。


ほかにも、柄本明坂の上の雲)、大竹しのぶ(それでも)、大沢たかお綾瀬はるか(JIN)、松嶋菜々子&長谷川博巳(ミタ)、広末涼子、加藤清史郎(11人)、仲里依紗幸せになろうよ)、などいろいろいるんですが、キリがないので次点ということで・・・。すばらしいバイプレイヤーもいろいろいるけれども、やっぱり主演ががんばってるドラマってすごく面白い。今年は、「堂々たる主役ぶり」を見せてくれた役者さんが多かったように思います。

今年1年のドラマ。個人的には、下半期の充実ぶりは驚異だった。そして、押し付けるように前面に出してはいなくても、時勢に対するメッセージを含んだドラマがいろいろ見られたことで、作る人たちをあらためて見直した年でもありました。