『11人もいる!』 第8話

ダイナミックパパファミリーと合同での家族会議って、やるだろうなーとは思ってたけど、うさぎちゃんとかサムとかサムの新彼女(!)とかまでいて、もはや混沌としておりましたな(笑

そこでクドカンは何をやりたかったのか。実(田辺誠一)は、幽霊のメグミと「たった2人で始めた真田家」に次々に生まれた子ども達をひとりずつ名指しして「そして、おまえが死んだ」と言う。「つらかった、本当に悲しかった」「なのに、再婚した」「おまえを忘れるためじゃない。前を向いて生きていくためだ」「できちゃった婚だから後ろめたさもあったけど」「でも、もういいよな」。笑いが満載のこのドラマにあって、ここでの田辺誠一は、とても真摯なせりふまわしだ。

ドラマがもっとも盛り上がるといわれるプレ最終話にあって、今さら不倫話?とも思えたし、ダイナミックパパファミリーこと飛鳥家が加わってくると、そらもう、バタバタ度合いも増すんだけども、このシーンのための今回だったんじゃないかなーとも思う。というか、ここは、クドカンがこのドラマにこめた思いが象徴的に表れたところだったんじゃないかと思う。

そう考えると、いろいろと納得がいく。

この場に、これだけうじゃうじゃ人間がいながら、ふたりのめぐみズ(と、物語の語り手である才吾)だけがいない。実は、どちらのめぐみに気を遣うこともなく、真意を喋っている(→めぐみズをいったんいなくさせるための不倫エピ)。「前を向いて生きていく」という真意を。幽霊のメグミに向かって「納得したら、この火を消してくれ」という実の呼びかけに反応がないのも無理はない。私たちは死者から答えをもらうことはできないのだ。それでも、私たちは、折にふれて懐かしい死者に呼びかけ、祈る。そして自分で決断する。

人生には思いもよらないことが起こりうる。アクシデントとしか思えない事故、童貞を捨てたときにできちゃった子ども。何があっても、生きてる者は、前を向いて生きていかなきゃいけないのだ。貧乏でも、子だくさんでも。しかも受験に落ちても*1

やっぱりクドカンは、「今=震災後」ってのを念頭にこのドラマを書いたんじゃないかと思ってしまう。第5話のエピソードも、気まぐれや軽い気持ちで入れたものじゃない。もちろん彼のことだから声高にメッセージを叫んだりしないんだけど、このドラマは、とびきり楽しくてくだらない、クドカン版の「それでも、生きていく」といってもいいんじゃないかしらん。

んで、そう考えると、幽霊のめぐみとは、いつかやっぱりホントのバイバイがくるよねぇ? 才吾とも。

最終回の予告、エラくはっちゃけてた。とても楽しみ!

*1:今回落ちてたのは滑り止めらしいから本命があるんだろうけど