フィギュアグランプリシリーズ2011 NHK杯のその2

まおまおのことを書いたら燃え尽きた感があるが、記録しとこ。

女子。
SPで素晴らしい演技続出! 点数も52点以上が8人と、ハイレベルな戦い。アリョーナ・レオノワの最後のきめ顔には鳥肌が立ち、鈴木明子の演技後のぴょんぴょんにはじんわりきた。

鈴木明子は、「ハンガリアン・ラプソディー」も「こうもり序曲」もすごくいい曲で、本人も「曲に助けられている部分が大きい」と言ってたけど、いやいや。いい演技が、いい曲だな〜って思わせてる部分も大きいですよ。まおまおの『鐘』でフィギュアスケートに転んだ*1私、フィギュアですばらしい演技でも見なけりゃ、すげーなって思うことのなかった音楽はいろいろあるぞ。閑話休題、ハンガリアン&こうもり、ファイナルもあるし、全日本も・・・と、このセットがまだ何度も見られると思うと楽しみだ。高橋といいあっこたんといい、ベテラン組の並々ならぬ決意を感じられるシーズン。

乗せたら怖いレオノワだけど、特に乗せなくても普通に怖くなる日がくるのかナーと思ったり。しかしフリーの演出が安藤さんのレクイエムとダダかぶりじゃないですか、モロ先生よ。アシュリー・ワグナーのFS「ブラック・スワン」、羽を広げるしぐさのスパイラルで歓声が湧いてた。エレーネ・ゲデバニシビリがフィギュアファンたちに愛されてる理由が初めてわかった気がした。グラマーなだけでここまでゲデ子ちゃんゲデ子ちゃんと(しかも女子ファンに)愛でられないよな、と思ってたんだ。

男子。
なんといっても、高橋・小塚の前にどどーんと立ちはだかるべきトマシュ・ベルネルの不調が痛い。SPのあと、私ゃ泣いてたよ(大げさ)。ていうか、男子SPは乱調スケーターズの宴と化していた部分があって、むむーと思ってた。

でも、トマシュのFSを見てちょっと気持ちに変化。彼は自分の不調(けが?)をわかった上でリンクに立ってる。転倒したときはさすがにつらそうだけど、立ち上がったらまた曲の世界を表現する。会場には彼のファンが大勢いて拍手で後押しする。演技が終わった後は穏やかな笑顔を絶やさない。いい点数が出なくても。ていうか、まずもってFSをこの順番で滑ること自体、彼には屈辱なのかもしれないのに。

それが、今の彼の飲み込み方っていうか戦い方なんだなーと思う。フィギュアスケートの試合では自身の満足のいく演技をできる選手っていうのは思いのほか少なくて、そのことについて、選手は演技中に、あるいは演技後のリンクやキス&クライでいろんな表情を見せる。若い選手は演技中にまったく集中力をなくしてしまうこともある。キス&クライで泣く選手も、悔しさを噛み殺してファンに手を振る選手もいる。

そういうのも全部ひっくるめて選手とファンが共有するスポーツだなーと思う。ミドルティーンの選手も、その倍くらいの年齢の選手も、調子のいい選手も悪い選手も、たった一人で広いリンクに出て行って、たった一人で演技をするスポーツ。跳ぶのも転ぶのも一人。で、みんながそれをじっと見てる。

「一期一会」的な観点でいえば、トマシュのは精彩を欠いた演技で、高橋のはブラボォの演技っていう、それだけの話なのかもしれないけど、いろんな試合を見てると、どちらも、「これもまた人生の一日」っていう感じもしてね。それぞれの苦闘があって、それぞれの輝けるときもあって、光も影も、技術も表現も、演技にはさまざまものが内包される。だから、たった2分50秒あるいは4分半の演技のあとに、3時間くらい芝居を見たんじゃないかっていうレベルの鳴り止まない拍手や、熱烈なスタンディング・オベーションが供されることがあるのは、大げさじゃなくてむしろあたりまえなのか・・・とか思ったりした。つまりトマシュ、あなたにもいつかブラボォを言わせて!て話です。

やばい、長くなってきたけど大輔さんの気張りっぷりはやっぱり見てて熱くなるもんがあります。それを、自分の演技を終えたあと、舞台裏のモニターで見てるこづの姿も。こづには、ぜひナウシカを完成させてほしい。完成したものを見て感想を述べたいな、って思わせるようなプログラムだ。ロス・マイナーがすごくステキで一発で覚えてしまったぞ。

*1:笑 こういうのを“転んだ”って言うの、21世紀でも通じるのかしら?