神無月の十

●10月某日: 「うわーっ」という夫の叫び声で目を覚ます。7時40分、ふだん家を出る時間の10分前だ。サクが生まれる前、共働きをしていたころは、ふたりともが繁忙期だったり飲み会だったりした翌日に、そろって寝坊しバタバタして出て行くこともあったが、ここ最近はじいさんのように自然と早く目が覚めるという夫、久々の大寝坊である。ごはんを食べる時間もないというのでせめてお茶だけ淹れてあげて、お弁当の準備をしてあげたら、「ありがとう」といたく感謝された(普段は異様に早起きな夫なので、ひとりで粛々と朝のしたくをしている)。夫も週末の疲れが残っているんだろうが私も同じくで、体は重いが、サクにいっぱい遊んでほしい(そして午後はよく寝てほしい)という一心(二心)で午前中、育児サロンへ。

●10月某日: 肌寒い日。午前中、誰もいない公園でひとしきりサクを遊ばせ、寄ったスーパーで近所の友だちとばったり。「うちで話さない?」と誘われるがままに寄せてもらう。そういえばたまたまのめぐり合わせなんだろうが、最近人を招くターンに入っていて、お呼ばれするのは久しぶりだったので、妙にうれしかったり。昼ごパン一緒に食べ、互いの子を遊ばせつつ3時間ほどもおしゃべり。ふと思ったんだけど、自尊心って大事よね。だんだん、若い頃のように、「わけもなく楽しい」みたいな感じがすぐそこにある年じゃなくなってくるとしても。たとえば仕事に先が見えてきたとか、専業主婦+育児で内にこもりがちとかさ、そういう環境によって、自尊心をすり減らしていってはいけないよね、と思う。

●10月某日: いつものように家を出て、エレベーターから飛び出すように降りていったサクのあとから歩いていくとびっくり。マンションのドアが半壊しているではないか! 深夜だか明け方だかのうちに、何らかの理由でガラスが割れたらしい。あわててサクをベビーカーに乗せた。「管理会社には連絡済です」という貼り紙。向かった公民館での親子教室なるイベントでは、サク、手遊びにも音楽に合わせて歩いたり踊ったりするのにも参加せず、というか、ぴったりと私に張りついて離れない。しきりにおっぱいを飲みたがる仕草をするし、昨日ほとんど昼寝しなかったせいで眠いんだろうな、帰ろうかなとも思ったものの、みんなの様子は気になるようでじっと周りを凝視したりもしているので、結局抱き合ったまま最後まで。案の定、帰りのベビーカーではすぐに寝てしまった。