『江』 第38話 「最強の乳母」

家康「二代将軍になれ」
秀忠「お断り申し上げます(キリッ」
 * * *
秀忠「熱海にでも行くか〜」
江 「太平の世を築いてくださいませ」
 * * *
秀忠「将軍になります(キリッ」

この間、わずか5,6分!(驚愕) なんというフットワーク! なんという決断力! わかってたけど、なんというインスタント大河ぁぁぁ〜!

しかも、「あなたと私で太平の世を築かねばならないのです、ええそうなのです」って夫婦で盛り上がってる場所が、やたら手入れの行き届いてた情趣あふれる露天風呂。もうねー断然、太平の世にしか見えないから既に。

それに、家康「秀忠の底力を江に引き出してもらわねば」 秀忠「そなたが将軍になれば太平の世になるかもしれんな」 江「あなた様をずっと年上のように思います」 って、君たち、何をホメホメ合戦してんだい? そういうことって、セリフで言わずに納得させてナンボじゃないの? ん?

江と秀忠は萌え萌えするに足る、似合いのかわいい夫婦になってきているんだが、ふたりの成長譚はもっと時間をとってじっくり見せてほしかった。いや・・・時間の問題じゃないかもしれないわね・・・。

樹里ちゃん、岸谷に続いて、アミューズから満を持しての登場は富田靖子。深く深く頭を下げ、伏し目がちにしながらも、異様に張りのあるハキハキした口調、サバサバとした挙措。最後、顔を上げ、ニッコリしての一言の怖さが快感だった。彼女の好演は想像に難くないところで、1997年の大河『毛利元就』でヒロイン・美伊の方をやったときも、既に相当うまかった。大泉洋ばりにぼやきまくる夫・元就を、「しおしおなさいますな」と励ますけなげでかわいい北の方。そういえば、そのとき美伊の腹心の侍女・藤野役は加賀まりこだった。共演再びなのね。

大河に再び戻ってきたといえば、宮沢さんもそうなんだけど、1991年『太平記』での藤夜叉を思えば、この人のなんと成長したことだろうと感動もひとしお。「江は何をしておったのじゃ! 秀忠どのは、なぜ断らぬ!」そのせりふまわし、抑揚のつけ方の見事さ・・・! ふわふわとした温泉シーンを一瞬で吹き飛ばし、テレビの前の私を「おお、これは大河であった!」と粛然とさせました。