『それでも、生きてゆく』 最終回

前回で、文哉以外のみんなが「それでも、生きてゆく」っていうのはもう示されていて、最終回でそれが覆されることはさすがにないだろうという想像はできてた。そのとおり、穏やかな最終回。テレビの前で滂沱の涙を流しつつ、すっきりしたような、いや、やっぱりそりゃないよーっていうような・・・。

洋貴と双葉の最初で最後のデート的なアレ・・・じゃなくてデート! 電車に揺られて遊園地、絶叫マシーン、フリスビー、レストランでシャンパン、そして夜のベンチでバケツに石ころ投げ(?)。揺るがない決意で来ている双葉と、そうとわかっていながらも、なんとかして引き止められないかと思ってしまう洋貴。どちらの気持ちも痛いほど伝わってきて、笑顔が、会話が、ふわっといった抱擁が、まぶしくて微笑ましくて悲しくて。

ゆりちゃんのお母さんになろうとする双葉、その理由が「まじめに生きたい」であるとか。響子(大竹しのぶ)の「謝らないでください」とか。洋貴の「忘れられるかもしれない」とか、駿輔にお父さんの遺品を託すとか。まあ、洋貴と双葉の関係自体、そこだけ見るとありえないだろって話なんだけど、もう、少しも不思議じゃなく、うすっぺらくなく、すべてに希望が宿っていて、胸打たれる。

途中までは、希望なんて、そんなもん、どうやったら?! ってな惨憺たる状況だったのに。すごい。本当に、確かな希望があると思えたんだよ。そんな奇跡を見せてくれたドラマだったんだよ。

好きな人から心をもらうこと。誰かを思うときに感じる希望。前回、「被害者の家族と加害者の家族は同じ乗り物に乗っていて・・・」というセリフがあった。オープニングテーマの映像にもあるその光景の目的地を、洋貴は、文哉だと言うのだ。生きてゆく人々は、あの文哉にさえも、はたらきかけていく。自分は祝福されて生まれ、愛されてきたんだと思えたとき、家族や洋貴から、文哉も心を受け取ることができるのかもしれない。

「私が誰かと繋いだ手の先で誰かが貴方の手を繋ぎますように」
「繋いだ手に込めた想いが届きますように」
「悲しみのその先へ」
「進め‥進め‥」

目から壊れた蛇口のように水がーーー! もしかして交流続いてる!?と思ったけど、やっぱり、出さない手紙なんだよね・・・。ああしてポストの木に結んでおけばなぜか届く不思議なシステムが、本当にあったらいいのに!

きっと、そう簡単には届かないけど、でも、絶対にないとは言い切れない・・・って、それぐらい思ってもいいよね? 生きてゆくんだから。月曜日と木曜日に泣いて、火曜日と金曜日に笑って、みんなそんなふうにして、それでも、生きてゆくんだから。洋貴があのときのビデオを返しに行くラストシーンも良かったな。自然な笑顔で。おかしみもあって。

見る者の、言葉を失くさせ(と言いつつ、毎週毎週だらだら書き連ねてきたわけだがw)、胸をいっぱいにするドラマ。俳優、脚本、演出、美術、音楽、すべてがブラボーな、ほんとに奇跡みたいなドラマだった。視聴率がなんぼのもんじゃーい。3ヶ月を通して私の視聴率は100%だった! 瑛太も満島さんも次の仕事が楽しみ*1

*1:と言いつつ「おひさま」脱落して久しいけど・・・。あちらでは、瑛太のリアル弟とドラマでの弟=田中圭が、満島さんにとっては親友の兄にあたって、リアル弟のほうとつきあってんだっけ? ややこしや〜