『それでも、生きてゆく』 第9話

9/8放送じゃなくて、9/1放送分の感想。やっと録画を見ることができました。

遠山家に帰ってきた文哉が、「お客さん用のスリッパでしょ」と言って、そのスリッパを踏みつけて家に上がっていくところ。窓から洋貴(瑛太)を見つめる目。洋貴に相対して「よっ」て感じで手を上げ、隙をついて走り出す瞬間。ふたりの走り方の対比。殴り合うふたり、獣のような咆哮。

今回もすごい演出満載だった。

風間さんは素で短距離が速い人ってことでよろしいでしょうか? いくら演技がうまくて演出がうまくても、あれって素養がないと無理なんじゃ・・・というような走り方でしたな。瑛太さんは絶対演技なんだろうけど、どの場面でも、ちゃんとあの走り方をしてるよね。

遠山家の食事。文哉と5人のとき。お手製の料理が何品も並ぶのに、すごい居心地の悪い雰囲気。後半、4人のとき。買った弁当に、もやしの味噌汁を作っただけなのに、家族がそろう最後の食事、という哀しみもありながら、どこか落ち着いた雰囲気。やっぱり遠山家はあの4人なんだな。時任さんも双葉も、それぞれ、自分ひとりが背負おうとしてるけど、互いが互いを思いあう家族といったら、あの4人。半分しか血が繋がらないとしても、双葉とあかりは家族。そういう演出だなーと思った。

洋貴と双葉の会話に冷凍みかんが出てきたのには「あ、なるほど」て感じだったけど、人体模型を見て「心」のありかを考える、というくだりが、最後の告白につながったときはびっくりした! 

終焉が近づいてきた物語に合わせてちょっと飛躍したように思えて、若干戸惑いもした。振り返ると、洋貴と双葉の心が近づいていく過程はじゅうぶん丁寧に描かれてきたけれど、彼らの境遇を考えると、その心を表出させるには、もっとすごく高いハードルというか、深い穴というか、そういうものを飛び越える描写をするかと思ってたので・・・。

今回の序盤で文哉に対する「忘れられなさ」を強く語っていた洋貴だけど、倉科さんの言葉とか、双葉が無言で配達していった1個の冷凍みかんとかがああまでまっすぐな告白に至るきっかけになった、ってことでいいのか? 倉科さんは、もしかしてあのシーンで事実上の撤収か?

最近の坂元脚本の最終回は、『Mother』は納得&涙、『チェイス』は啞然&苦笑って感じだったので、今後は期待半分不安半分で見ることにしよう。今回のラスト見る限り、双葉は洋貴と結ばれる感じじゃなく、「それでも、生きていく」になりそうだけどね。兄の命を奪うまではなくとも、刑に服することになるような感じとか。

視聴者は、大竹しのぶ田中圭、草間ファーム、遠山家、もちろん文哉など、もう、あっちもこっちも気になっている状態。ここまで細密に話を広げてきたのは凄いことで、でもだからこそ、収めるのは生半可な難題じゃないもんね。しかしとにかく、この状況にあって主人公の牽引力がすごい。私は洋貴に感情移入しまくりで、片時も見逃したくないと思わされてる。ラスト、えーたさんに恥かかせたら許さんぞ、坂元!!

書き始めたときにはこんなに長くなるとは想像もせず。もっとまとめろ!私!