『ランゲルハンス島の午後』 村上春樹

ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)

ランゲルハンス島の午後 (新潮文庫)

1984年、雑誌『CLASSY』の創刊から2年間、連載されたエッセイをまとめた本、だそうです。かなり再読。

最初から最後まで全部読んでも30分程度しかかからないぐらいの薄さで、いたってライトな、なんてことない題材の文章と、おなじみ安西水丸のカラーイラスト。なのに、読み終わると不思議なほどに明るい気持ちになる。イケイケ(死語すぎ)って感じじゃなくて、こう、すーっと心が軽くなるというか。

書いてあることといったら、女子高校生の遅刻のこととか(へたすりゃロリコン)、UFOを見たことがないとか(私だってないよ)とか、僕ずっと自由業なんだけど会社って何が忙しいの?とか(しがないサラリーマンに喧嘩売ってんのか?オラオラ)とかだよ。

なのに癒されてる。これが村上マジックでなくてなんであろう〜。

蛇足。「しっかし、今の『CLASSY』からは考えられないテイストのエッセイだと思うんだけど、当時は誌風が全然違ったのかしら?」と思って、当該雑誌の最新号を立ち読みしてみると、作家・文化人の類のエッセイ連載という欄が、そもそもありませんでした。