『JIN』 最終話

続編は、序盤からハードな展開で息つく間が少なく、見るのに「エイヤッ」という気合が必要だけれども毎週毎週そこまでのテンションになれなくて、4話くらいで脱落してしまっていた。でも最終回はやっぱり気になって前半はtwitterでチェックし、10時ごろ、1stシーズンの冒頭とつながったところから見ました。

咲さんのひたむきな思いが、たまらなく切なく、けれど絶望的にではなく昇華されていて、まいった。

揚げ出し豆腐が好きだったこと、神のような手をもち、無私の心で人に尽くす“仁”をもっていたこと、自分がずっと心から慕っていて、相手からもプロポーズされたこと(を、“この世でもっとも美しい夕日をいただいたこと”と表現していたのが、またイイッ!)・・・そんな鮮やかな記憶の数々とは裏腹に、名前も顔も思い出せないなんて・・・すべてを忘れてしまうよりも、すべてを覚えているよりも、甘く切ない恋だと思う。

時空を超えたあの手紙のシーンは、『歌姫』のラストにも匹敵する号泣ポイントだったんじゃないかしら。(両者の視聴率を比較するの禁止!!!) 全話見ていなし、横に夫がいたので私は泣かなかったけど、余韻でちょっと寝つきが悪かったことですよ。

子どもの頃、物語にパラレルワールドの概念が出てくると怖かった。考え出すと、自分の足元がぐらぐら揺らいで心もとなくなってしまうのだ。その感覚は今でも少し残っていて、百科事典に仁友堂の記述があったり、明治期の橘家の写真が残っているのには胸が熱くなりつつも、「東洋内科」とか「本人負担ゼロ」とか「龍馬の船中九策(これはちょっと笑ったけど)」とか、元いた世界と少しずつ違う・・・という、そこはかとないホラー感が、見終わったあとの心のざわめきに、一役かっていたように思います。あら私だけ?

最終回の視聴率は26.1%! 2時間の平均であることを考えるとやはり高いし、平均が20.6%というのも、大河や朝ドラ以外ではひさびさの数字のはず*1。 1話完結ものではなく、特に2ndシーズンはあれだけシリアスだったのに、こうも視聴者がついてきたっていうのはほんとにすごい。数字だけでなく、長く記憶にとどめられるドラマになることは間違いない。

しっかし、綾瀬はるか。『世界の中心で、愛を叫ぶ』にはじまるメジャー路線、『ホタルノヒカリ』に『ハッピーフライト!』にこの『JIN』・・・そうそうたる出演歴だな。出来としてはアレだけど、数字がさすがだった『MR.BRAIN』もあるし、『ICHI』とか『おっぱいバレー』こそがベストだという好事家もいそうだし。個人的には『鹿男あをによし』も好きだっただけどw 

主演またはヒロインで出るたびに代表作を更新しているような状態で、再来年の大河はどうなるんだろう?と期待と不安がぐるぐるないまぜです。なんせ最近の大河って(視聴率とは別に作品の評価として)大当たりかスカか、っていう超デジタルな世界なので。ゲゲゲの山本むつみさんが脚本ということなんで目を覆うほどひどくはなかろうけども。

中谷さんとか内野さんとかはこれまでどおりマイペースでやっていくとして、個人的には大沢たかおが、媒体、作風、役柄ふくめて、今後どういう仕事を選んでくるのか読めないというか、注目したいところ。

*1:同じプロデューサーの『ROOKIES』もそのくらいあったのかな? あ、そうか相棒season9があるか・・・