『江』第2話「父の仇」

うーん、意外だ。

狙った層をズッキュンと撃ち抜き、トリコにするのが田渕久美子の脚本だと思っていたし、「女目線すぎて、どうこう」「歴史の描き方がうんぬん」とか言いながらも、15話くらいから最後まで『篤姫』を完走した私なので、しっかり免疫はついて心構えもしていたはずなんだけど、あれ? こんなもんだったか。

主人公が歴史上の大物にアポなし突撃するところなんかは、そっくり篤姫のやり方を踏襲してるんだけど、たったあれだけの会話で「そなたは宝をもっておる」「心のままに生きろ」とか金言をポロポロ惜しみなく与えてくれるって、信長様、ちょっと安すぎない? 大広間のシーンでドスを畳にぶっ立てたり、秀吉ボコボコにしたりと暴君ぶりを発揮していたのに、そこまでコロリと態度を変えさせるほど、お江ちゃんの訪問はすごかったかしら? 

お市様もお市様。「織田家にあっては裏切り者と蔑まれ・・・」って言われたら、そーなんだと思うしかないけど、そんな描写がないもんだからさー。庇護者の信包は小林隆で優しそうだし、お付きの侍女達もけっこういるし、花を生けたり馬に乗ったり海辺で遊んだり、けっこう穏やかな暮らしを営んでいるように見えたけど? 安土城に登場したら、柴田を始め重臣たちまでハハーって蜘蛛みたいに這いつくばって、蔑む人なんていそうにないし・・・。だいたい、兄を裏切ったことを「後悔はしてません」と先週言い切ってたじゃないか。負けたら自害するのは武士の習い、娘たちのその後の生活扶助もしてもらってんだし、万福丸の件はこのドラマではなかったことになってるんだから、それほど信長を恨む筋合いでもないと思うけど? 髑髏の杯? それこそ、はっきりした性格のお市様、噂を本人に確かめてみなかったの? 

なんか、そんな「?」が頭の中をいっぱい駆け巡っている中での
「女のいくさは、生きること。ただいまこのときを生きることにございます」
だったので、どどーんと胸に響いたり、するっと受け容れたりすることができなくて、切り貼りのコラージュみたいに感じちゃったよ・・・。あ、そう、いま、狙ってきたよね、みたいな。

ホンが微妙だと、役者の演技までビミョーに見えちゃうから(『天地人』がその最たる例)、心配〜。ムカイリが出てくるまでに、しっかりした道筋をつけといてくださるよう、お願いしますよ。

それにしても、上野樹里ちゃんが秀吉=岸谷五朗に飛び掛っていくシーンにまったく違和感がなかった。ふつう、若手女優がこういうシーンを見ると、実力派と言われてる子だろうと「うわーがんばってるな、体当たりで演じてるな」なんて頭の片隅で冷静に思っちゃうもんだけど、微塵もそういうことを感じなかった。おそるべし、上野樹里。ていうか、のだめ?