【いきなり氷上列伝】高橋大輔

残す主要大会も少ないが、ここまで存分に楽しませてもらったので書きたい気持ちがむらむらと。世界選手権までにスター選手についてつらつら綴ります。
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バンクーバーで彼より高い表彰台に上った二人が今季は不参戦ってことで、世界の本命になってるはずなんだけど、今季の両プログラムを見て、なんか「殿堂入りしたな、デーさん・・・」と思っちゃった。点数とか順位っていうのを、ある種、突きぬけた感がある。表現者として。

昨季のプログラム『道』は、名作映画の音楽とそれを意識した振付で、その“物語”を演じることによって見る人を感動させたデーさんだが、今季は、マンボとタンゴ。そこらの日本人にはちょっと手を出しにくいようなプログラムだ。そこに、もはや先付けのストーリーは必要ない。高橋大輔の熟練した表現力があればじゅうぶん。

観衆も、彼に関しては「ノーミスでクリーンな演技を!」というよりも、「“これぞ高橋大輔”という演技を」というのを望んでいる気がする。そして彼は、多少コンディションが悪くても、それに応えて、観衆を熱狂させることが出来る・・・。

グランプリシリーズでも全日本選手権でも、怪我の影響なんかで、ところどころが粗くなってしまう演技、それでも「すげー、さすが高橋」って思わせるとこなんか、私の中では去年のプル様とかぶりました。でも、全日本のフリー演技はすごかったよね〜。情念で演技し、点数まで叩き出すとこなんか、やっぱりダテにいろいろ乗り越えて五輪メダリスト、世界王者になったわけじゃないって見せ付けてくれた。まだまだ“上がり”になっちゃうのはもったいないん、世界選手権に期待!