『龍馬伝』第46話『土佐の大勝負』

大河ドラマって、放送期間が長い分、最終回近くなったら「ずっと見続けたごほうび」を視聴者にくれる。『篤姫』でいえば、大広間にずらっと平伏した豪華絢爛な女たちを目の前にして、天しょう院様が大奥の閉鎖を宣言する回ね。それに匹敵するのがこの回でした。

龍馬伝』は、とにかく、土佐なんですね。上士と下士とは会い通じ合えないのが当たり前だった土佐という国で、下士の家に生まれ上士に虐げられても「憎しみからは何も生まれない」ことを“命をかけて”母に教えられた龍馬を中心とした、土佐の人間たちの物語。下士の仲間たちのうち、弥太郎は己の才覚でのし上がっていき、武市さんは土佐を変えようとして挫折し、以蔵は武市さんに殉じた。上士のうち、吉田東洋は暗殺され、後藤象二郎は自らすすんで龍馬とシェイクハンドし、そして大殿様は・・・。

来週は“龍馬が成さしめた”大政奉還なんだけど、きっと来週・そして暗殺の再来週は、いわゆる「製作陣からの感謝の気持ち」「おいしいおまけ」みたいなもんなの。だってこのドラマのラスボスは、徳川慶喜でも今井信郎でもなく、あくまで、山内容堂

ドラマにはたくさんの土佐人が登場したが、その頂点に立つにふさわしい威厳や風格の大殿様だった。武市さんの最期のときもそうだったけど、何を考えているのか(下々の者たる視聴者なんかには)ちょっと測り知れないような、まったく一筋縄ではいかないこの人の造形は、すごく良かったよね。ついに実現した龍馬との直接対決は、固唾をのんで見守っちゃうような迫力があった。近藤正臣の存在感、このドラマでいや増しに増したね。来年以降もテレビで見る機会増えそうだな。

というわけで、西郷や木戸や高杉が薄っぺらい描写なのは、仕方ないんですね。これは土佐の物語だから、彼らは脇役でしかないってこと。ドラマは第一話に広げた風呂敷をちゃんとたたんでみせた。私が見たかったのは薩摩やら長州やら京都やら各藩各地の幕末もようだけど、そう考えれば、確かに土佐の人々はみんな魅力的だったし、満足かな。あと2回。見届けさせてもらいます。