『密封』上田秀人
- 作者: 上田秀人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/09/14
- メディア: 文庫
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では、この上田秀人という人はどういう時代小説作家かというと、私の印象では、一言で言って“オタク”ですね。江戸幕府の諸制度や暮らしの慣習、剣道の仔細についてまで、こんなにも事細かく文中で触れまくられているものも珍しいし、またその膨大な知識を軸にミステリーが組み立てられている。
それが「気宇壮大」と見られているのか、宝島社の「この文庫書き下ろし時代小説がすごい!」で1位を獲得したシリーズもあるらしいんだけど、私としては、イマイチ乗り切れなかった。本作はシリーズ第1巻で、謎が謎を呼んでいる。その着地点には興味を惹かれるものの、文章や人物の造形にどうも魅力を感じない。
・・・と言いつつ、勢いに乗って2,3日で読み終わったので、じゅうぶん楽しんだのかもしれないけど。なんだかんだいったって私もオタクの傾向があるので、ウンチク部分が垂涎ものであるのも間違いない。ブックオフで続きを入手できないかなー。