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「プロフェッショナル 仕事の流儀」市川海老蔵

テレビ 歌舞伎

いちばん「へぇーっ そうだったのか!」と激しく思ったのは、
「忙しいときは剃ってますけどね」
という海老蔵の言葉。眉のことだ。舞台化粧をするときに、眉をつぶし塗りする手間が省けるからなんだって。どおりで! ふだんの顔で、えらく怖いときとそうでもないときとがあるなー、と感じてたんだよね。

麻央さんとの結婚については、もういいよ聞かなくてとか思ってたけど、
「これまでも家族と暮らしてきて、父のことを好きだし尊敬しているけれど、同時に師匠でもあるから、どうしても、普通の会話というのがしにくかったりする。(麻央さんには)そういう気兼ねをしなくていい。だから楽しい」
というようなことを言っていて、あーリアルな感想だなあと思った。歌舞伎の家では、父と子は師匠と弟子でもあるってこと、奥さんは家のために陰ながら尽くしてるってことは、漠然ととらえていた。そんな環境で育った海老蔵が“気兼ねなく話せる家族”を求めたのは、考えてみればあたりまえかもしれない。家を守ってくれるとか、梨園にふさわしいとか、そういう文脈じゃない結婚のとらえ方。想像してみたことなかったな。さすがNHK、いいコメント引き出してくれる。

海老蔵の魅力といえば、なんといっても、なにか大きなスケールを感じさせるってことだろう。十把ひとからげになってるその辺のイケメン芸能人とは違う存在感。歌舞伎ってナニソレ?て人でも、海老蔵のことは知っているし、たとえ「生意気」とか「気に食わない」とかいうマイナスなものでも、なんらかの感想をもたせてしまうところがある。知っているだけでなんとも思わない有名人ってのもたくさんいるもんだからね。

ちなみに私も、海老蔵なんてしゃらくせぇと思っていたクチだが、5年前、博多座で襲名披露の口上と睨み、および「助六縁江戸桜」を見てすっかりやられてしまった。浮世絵から飛び出てきたような粋な男前。あの舞台化粧の映えっぷりは、さすが市川団十郎家の御曹司というほかない。正直、今の美貌が保てるうちは、助六光源氏だけやってくれてりゃそれでいいとさえ思ってる。正月公演でひとり十役やったらしいけど、海老蔵の政岡とか別に見たくないもん。そう思いませんこと?

なーんてわけにもいかないか。歌舞伎界にとって、海老蔵は、この世界の入り口、架け橋になってくれる存在。海老蔵としては、自分は歌舞伎を本気でやってるんだから、歌舞伎で評価してくれ、って気持ちもあるだろう。外からはますますフューチャーされ、内からは芸を磨くのに腐心するというグッドスパイラルは今後もまだまだ続きそうですね。私も、あれ以来、海老蔵の歌舞伎をちゃんと見たことはないんだよなー。NHKさん、何か放送してください。