いい日旅立ち(笑)

土曜日、実家での産褥生活を切り上げて自宅に帰ってきた。私も子どももほんとに世話になったと感謝している。親のほうも、3週間も過ごせば特に孫に情が移りまくっているのは明らかなので、別れを思うと朝からとても切ない気分。車で15分、電車で2駅、いつでもすぐ会える。と、たぶんお互い何度も心に言い聞かせていたことだろう。

いよいよ夫が迎えに来て車に乗り込み、母の腕の中からサクを受け取ってドアを閉めるともうこみ上げるものがあって、お互い笑顔で手を振って別れたんだけど、走り出すと我慢できなくて夫に気づかれないようにポロポロ泣いてしまった。いくら近いといっても、この子が家の中にいるのといないのとでは全然違うに決まってる。火が消えたみたいに感じるに違いない家に戻っていく親の気持ちを考えたら、自分がとても残酷なことをしているような気がした。

夫と話しても、自宅に戻っても心底楽しい気持ちになれなくて、気を抜いたらすぐに泣けそうで、このまままた何日も落ち込む日が続いたらどうしよう、参ったなという感じ。子どもを産むって本当に大変。お腹で育てる日々も、お産も、産後の体のボロボロさ加減も大変だけど、こうも気持ちが揺れたり泣けたりすることなんて人生なかなかないし、産後こうなるだなんて、知識はあってもあまり現実的に想像していなかったので、ほんとうにこたえる。

でも、人間、寂しさにも慣れる。会えない日が寂しい日じゃなくて普通の日、会える日が普通の日じゃなくて楽しみな日に、きっとなる。今の寂しさを味わってもなお、生まれたばかりのサクと一緒に暮らした3週間を、将来、後悔なんてしないだろう、私も親も。小さくてかわいいサクを囲んだ夢のような日々だったと思い出すだろう。・・・・と、アンタ月にでも帰るつもり?というほど大げさにいろいろ考えていたのだった。

現実には、近距離メリットを生かして、翌日にベビーバスだとかおむつ用のゴミ箱だとかを父に車で自宅まで運んでもらう算段にしていたので、母も一緒に乗り込んできたんだけどね。それでも日曜日の朝、時間を打ち合わせるために電話して、「ゆうべはさみしかったろ?」と聞くと、「さみしかったよう・・・」と言いながら即座に電話口で泣き声になる母。「サクちんの泣く声が聞こえるような気がして、抱っこしたら泣き止んで眠りにつく姿が思い出されて・・・」と、母も母でほとほとオーバーなんだが、私も電話のこっちで気づかれないようにもらい泣きしているんだから世話はない。

それでも、実際に自宅にやってくると、ちょうど眠っていたサクを見て「起こしたらかわいそうだから」と、抱っこしたくてたまらないのにガマンしたり(私が起こしえ抱っこさせた)、夫に気を遣って早々に辞去する姿を見ると、まあいろいろ困ったところもある人だけど、親はどこまでいっても親なんだなーと思ったことだった。

そんな涙ナミダの数幕はあっても、やっぱり気随気ままにふるまえるのは今や実家よりも自宅で、すぐにしっくり。土日で3回、予行演習(?)をしていたせいか、サクがいてもそれほどの緊張感もなく、週末は過ぎていくのでした。