9年越しのお宅拝見

●6月5日(土)
長らく私の上司であった人のお宅に招かれる土曜日。決算もひと段落したらしい。地図をメールするというので、てっきりgoogle mapか何かが送られてくるのかと思ったら、自作(しかもエクセル)という予想のななめ上をまんまといかれた(写真)。そのうえ、実際にその地図を頼りに向かったところ、大変に路地の入り組んだ住宅街なのにあっさりとたどりついたものだから、その「簡にして要を得た」出来ばえに彼の仕事っぷりを思い出し、妙に懐かしい気持ちになったのだった。

さて、この人はこの少子化社会において、4人のお子さんの父親なのです(子ども手当で荒稼ぎ、とは本人談)。11歳、8歳、そして1歳半の双子ちゃん。お会いするの楽しみだった。

“汚れてもいい格好でお越しください”という彼からの事前の通告はやや大げさにしても、いやー双子パワー、すさまじ。通されたときはきれいに片付いていた8畳間のお座敷が、双子登場の瞬間からいくらも時を置かずして、彼らがぶちまけるおもちゃや絵本、ひっぱりだしてくる日用品で足の踏み場もなくなるの巻。さしずめ見事な魔法である! 

きゃーきゃー言いながら傍若無人におもちゃを投げ散らかして遊んでいるくせに、お母さんが飲み物をもって登場すると磁石にひきつけられるように擦り寄っていくのも、赤ちゃんぼうろを出されるといい子で座り込んで、それがなくなるまでは静かに一心不乱に食べ続けるのも、ふたり一緒の仕草。くー、たまらんぜよ!

車輪つきのベビーラックに一人が乗ってもうひとりが押すというのを繰り返したり、転んだひとりをもうひとりがナデナデしてあげたりする姿もあり、「ふたりで遊んでくれて楽なときもあるし、それ見てると癒されるんですよ〜」と奥さんがおっしゃるのも頷けるかわいさ。 もちろん、おもちゃをとりあって泣く場面もあったけど、私にしたらそれもまたかわいい。

奥さんもとてもかわいらしい人だった。彼は会社でも家の話をよくする人で、長きにわたってそれを聞いていると勝手にご家族にも親近感を抱いていたので、少しもおばちゃんっぽくない、いい意味で少女みたいにかわいらしい優しい奥さんには特に感動。

「会社での夫はどんな感じですか〜」と言われ、もう事細かにいろいろとお話したかったのだが、上司と部下という関係とはいえ9年もつきあった本人を目の前に絶賛の嵐を巻き起こすのは照れくさいもので、「下の人には優しく、上の人には毅然としてて・・・」くらいのことしか言えず悔やまれた。奥さんは帰り道(車で送ってくれた)、「夫がああいう人なんで、私もなんとか4人育てていけるんです〜」とおっしゃっていて、結婚10年以上を経ても、そういうふうに思えるってステキだなーと感動しつつ、確かに彼ならそうだろうよ、と納得しつつの楽しい訪問だった。

上司はといえば、奥さんに私を紹介するとき、「彼女が仕事をすごくがんばってくれたおかげで、俺たち双子まで作れたんだよ」というわけのわからない表現で私の貢献度を称えてくれた。仕事抜きで会ったことのない人が、赤ちゃん相手にかわいらしい声音を作っているのを見るのは何だか妙な感じでもあったが、彼のことだから普段も良い父親なのだろう。どうも私のまわりにはマメな男性が多いのか、この日のおやつの芋ようかんも彼のお手製だったし、帰り際にいただいたくるみ入りのパンも然り。
そのほか、うちの子どものためにも、たくさんたくさんのお下がりを頂いた。服や帽子、がらがらや布の絵本のほか、掛け布団やベビーラックまで。ちょっとした夜逃げのような荷物で帰ってきた私に夫がびっくりしていた。