『龍馬伝』第19話「攘夷決行」

攘夷決行、というサブタイトルでこの内容なんだから、今年の製作陣はやはり心憎いことをやってくれます。

土佐勤王党にカタストロフィーが迫っている。このドラマにおける武市半平太はまったくもって歯がゆくなるほど本質的に情けない男で、もうちょっとかっこよく描いてほしかったなーとも思うのだが、大森南朋の演じっぷりが見事すぎて、とても嫌いにはなれない。今日の最後の龍馬とのやりとりなんて、眩暈がするほどじょうずだった。そして、受ける福山さんの演技もふつうに俳優のものとしてみている自分に気づいた。

ていうかさ、ガッチガチの身分制度とか大物で偏屈の大殿様とか、実際、幕末の土佐藩の悲劇的な状況というのはあったわけだけど、陰険な殿様に、衆愚という点ではどっこいどっこいの傲慢な上士・卑屈な下士・・・なんか、南国武士の明るさみたいなものがみじんもなくて悲しい。確かに、雄藩の中でも、土佐藩士の辿った運命は悲惨なものが多かったわけで、そう調子よくは書けないだろうけどさ、龍馬伝、うーむ。真面目なんだよな。ハード路線は好みなんだけど、この大真面目さは・・・。

ま、考えてみたら「白洲次郎」にも明るさはほとんどなかったな。大友Dの作風なのか。武田鉄矢とか香川照之の場面の明るさ、あれって、実はほとんど役者のアドリブなんじゃなかろうか?と疑ってみたくなる今日このごろです。