『龍馬伝』Dreamer編とやら、完結。 

3/28放送の第13回「さらば土佐よ」をもって、第1部終了となりました。なんか今年の大河は4部構成らしい。まあ3月末だから普通に考えても1年間の放送の1/4が終わったわけで、探り探り見る、みたいな時期はもう終わったといっていいでしょう。

オープニングテーマが流れるとき一緒に口ずさめるようになり、また、そこで出るキャストクレジットの基本的な順番を把握するころになると、「ああ、今年の大河にも馴染んできたな」という感じがしますよね。佐藤直紀さんによる今年の曲、好きです。キャストクレジットは、最近、倍賞美津子さんが連続して大トメを飾っており、なんといいますか、うん、こう、全体的に地味めなキャスティングなんですが、なんか文句ありますか?

で、内容なんですが、これはもう、面白い!といっていいと思います。
脚本については、ちょっと悲愴感が強すぎるんじゃないか、もうちょっと軽みがあっても・・・とか、上士いくらなんでもステレオタイプすぎるだろとか、龍馬が言う「土佐のことだけ考えることはできない」という言葉なんかが、いかにも「歴史の結果ありき」て感じで浮きすぎとか、あるけども。なんたって私は10代のころから司馬遼「竜馬がゆく」の愛読者で、その先入観にばっちりとらわれているがゆえに、違和感をおぼえる部分もあるけどさ。

でも、細けぇことはいいんだよ!といえる。全然言える。去年の今頃、あのズタボロの”御館の乱”を見ていたと思うと、今年の幸せに感謝の祝詞を捧げたいくらいに全然面白い。福田靖、危惧する必要なかった。そりゃ過去の珠玉の傑作たちと並べるわけにはいかないにしても、小松センセイなんかとはレベルが違うってことはもうよく分かった。

福山雅治の龍馬も、驚くほどいい。このドラマの龍馬としてすっかり違和感ない。なんか、演技力でいったら段違いのはずの去年の妻夫木くんにはあんなにイライラさせられてたのに、福山龍馬には見とれる始末。これは私がスイーツ(笑)というよりも、やっぱり脚本のマトモさと演出の力であることは確実だと思われます。

そう、演出。最初は戸惑ったけど、今では普通に見てます。で、普通に見てしまってるんだけど、これほどの絵づくりの大河ドラマにはこの先もそうそうお目にかかれないでしょう。光のあて方とか色彩のコントラストとか凄い。やっぱり、かなり今作を押し上げてると思います。

そして助演陣の堅実な演技はすばらしいものです。クレジットだけ見ると地味なんだけど、これも去年とは比べ物にならないくらい好みです。このドラマの弥太郎が、「竜馬がゆく」以上に愛すべきキャラクターになってるのは、やっぱり香川照之の力だよぅ。武市さんも「竜馬がゆく」とはだいぶ違って、最初から、より悲劇的に描かれている。大森南朋ハマってるなあ。最期を想像すると、今から泣けそうです。

広末涼子も思っていたよりずっと良くて、というか、ここ最近、広末がこんなにもてはやされている理由がなんとなくわかった。驚いた演技のときは、すんごく目を見開くだけ・・・っていうようなとこはまだあるんだけど、静かに涙を流しながら哀しみをこらえてるとか、にっこり笑ってるんだけど何を言われてるのか全然わかんないとか、そういう表情に時々ぐっと惹かれた。

そして第1部のスリリングさの立役者は、なんといっても田中泯だよね! 今後20年くらい、私の中で吉田東洋が彼から上書きされることはないと想像します。あの目力、あの土佐弁の迫力、重みのある挙措・・・。はっきり言って、土佐の下士なんかに間抜けに暗殺されるとは思えない、身震いさせられるような強いご家老様でありました。しかし、これが史実だからこそ大河ドラマは面白い。2部の容堂公(近藤正臣)は、東洋を超えるラスボスっぷりを見せてくださいよ!

そうです1部が終わったからって来週すぐに第2部が始まるのです。その予告、竜馬が蓬髪っぽく、そして小汚くなってて、以蔵も狂犬のような目になってて、勝海舟武田鉄矢はいまだにどうかと思うのだが昨今の役者・鉄矢はのりにのってるわけだし、今後も期待してしまう! わたし的には大河ではもうちょっと笑うとこも欲しいんだが、今作はハード路線ってことで納得します。より疾走せよ、龍馬伝