『龍馬伝』 第7話「遥かなるヌーヨーカ」

どーも。大河ドラマのために生きてるのか?て事態になってる筆者エミです。

いま放映してるものを見るよりも、未見の来年のものを妄想するほうが楽しいこの数週間でしたが、今週はこれまでの7回の中で一番良かったように思えます。よかったー、よかったよ。「不毛地帯のほうがよっぽど面白いのに、あれの視聴率の2倍もとってるなんて、世の中っちゅうもんは辛いのぅ」と嘆いてたからね〜。

この数週間。何がそんなにつまらなかったんだろう。谷原章介桂小五郎が出てくるシーン、おもしろい。売春もする酌取り女のいる飯屋で酩酊して初登場する、ってのも新鮮だったし、龍馬とともに黒船を見たあと憔悴しきってる姿もさすがタニショー、見せてくれた。先週の、パワーみなぎりすぎの吉田松陰も面白かった。あんな松陰像なら、ちょっとの登場シーンでも生瀬勝久を使う甲斐があるってもの。田中泯の眼力と威容もす期待を裏切らないし、弥太郎は相変わらず抜群だ。うーん、武市まわりがつまらんかったのかなー。

福田靖の脚本は、乗ってるとことそうでないところの落差が激しい気がする。面白いシーンもたくさん書けるのに、「とにかく話を進めるために書いてます」って部分が散見されて、そういうシーンが続くと時間が経つのがとっても長く感じる。やっぱり、歴史物というのが難しい部分があるのだろうか。無理して書いてる感じのところがあるもんなー。逆に、登場人物の会話とか、場面の仕立てとかはすごくうまいなーって思うとこがいろいろある。

今日の、河田小龍の家で講義を受けるあたりからなども、すごく面白かった。
弥太郎「鯨はゆうゆうと海を泳ぐもんじゃ。波にいちいちびっくりするのは、小魚じゃ!」
半平太「それはわしのことか!」
龍馬「まあまあ、やめんかい。弥太郎、黒船は、信じられんほどの大波を立てて進むんじゃ。武市さん、大波を剣で振り払えますろうか」
全然うろ覚えですけどこんな感じのやりとり。あと、怒りをわめき散らしながら帰る聴衆を、「お忘れ物ありませんように〜」なんて飄々と言いながら送り出してる饅頭屋(大泉洋、初登場!)。

そして、初回から筆が冴え渡っていた家族の風景の描写。坂本家も岩崎家も、どっちもいいのである。今日の最後、土佐の砂浜に家族総出で打ち出るシーン。「黒船を作ったら、家族全員を乗せ、世界中を旅してまわるんだ」という龍馬の話を、黙って、ただ頷きながら聞き、閉じた目から一筋の涙を流す父・児玉清の姿が映った瞬間、じわーと涙が出てしまった。

慣れたって部分もあるにせよ、福山の龍馬はいい感じだと思う。40代でありながら、とことん無邪気な龍馬の演技。演技っていうよりも、あのてらいのなさを、巧まざるして出せるのが福山ってもんなのだ。もちろん、本業の役者さんの演技には及ばないけど、その分、香川や今日の児玉のような職人ががっちりと支えてドラマのリアリティを損なわないようにしてる。

何より、去年も一昨年も、大河の主人公は最初から「選ばれた存在」みたいなスーパーマン的描かれ方だったけど、今年はどこにでもいる、むしろちょっと足りないようなあんちゃんだってとこがいい。

何か光るものは持っているけど、周囲ははっきりとそれを感じ取っているわけではない。家族は家族だから龍馬が大好きで信じたいだけだし、広末や貫地谷といった女性陣は、龍馬のキラリ感を本能的に嗅ぎ取ってるんだろうけど、なんたってそこは龍馬が福山なんで、「なんせ顔がいいからね〜顔が」という理由で納得できる。香川や大森南朋も、龍馬の「デカさ」に気づいてるんだけど無意識のうちにそれを否定したい。結果、龍馬は何の功もない若いころから“ただ、ドラマの主人公だという理由で”周囲に持ち上げられたり、やたらと褒めちぎられたりしない。ほんと、去年も一昨年も、そこには辟易とするもんがあったからね。。。今年は、ここから、成功や挫折、人との関わりを繰り返しながら、どうやって「あの坂本龍馬」になっていくのか、楽しみである。