『気まずい二人』 三谷幸喜

図書館で借りた本。何度目もの再読。

気まずい二人

気まずい二人

1995年〜1997年にわたって今はなき月刊誌『カドカワ』で連載された対談。三谷さんは34〜37才の時期か。既に『王様のレストラン』や『古畑任三郎』を発表したあとなんだから、やっぱり才能ってすごいね。

対談の相手はすべて女性。和気藹々とあるいは抱腹絶倒にといった感じに盛り上がるわけじゃない。特別にテーマもない。人見知りで口下手だという三谷さんが、それらを克服していくためのレッスンのようなものらしい。“(笑)”みたいな楽しげな記号はどこにも用いられず、かわって、「会話が途切れる」とか「困ったようにうつむく」みたいな気まずさがト書きで描写される。そういうのがこの本の読みどころなのである。

桃井かおり平野レミ林家パー子などマイペースな熟女(?)たちとの対談はさすがに相手のパワーで淀みなく流れる。『ほぼ日刊イトイ新聞』でおなじみの手相見の日笠雅水さんの見立てもおもしろかった(三谷さんはまったくストレスを感じていない手相らしい)。鈴木蘭々森口博子西田ひかるなど、時代を感じる対談相手もいる。そして、最初と最後に登場したアナウンサー八木亜希子(最初のときが初対面だった)を、彼がのちにメガホンを取る映画『みんなの家』でヒロインに抜擢したわけが、この対談を読むとなんとなくわかる気がする。

ところで、私はこの本の文庫版を発売当時に買って持っている。どうしてわざわざ図書館で借りたかというと、清水ミチコとの共著『むかつく二人』と間違えたのだ。不覚! でもせっかく借りたので読みました。で、文庫版のあとがきだけに書いてあるんだけど、ゲラを読んだ事務所が活字にするのを許さなかった相手、それに、三谷さんの対談進行ぶりがあまりに拙くて、途中で怒って帰っちゃった相手がいるんだって! くー、誰だろう。知りたい。