『JIN〜仁〜』 最終回

予告を見た限りでは、「あー、また言わずもがなの大仰な長せりふに辟易するんだろうなー。それで25分拡大とかつらいなー」なんて、むしろうんざりするぐらいだったのに、なんということでしょう。実際には、80分の間じゅう、ぼろぼろ泣きながら見ているわたくしが。

一部で批判も出ている最終回だけど、私としては、断然!満足。

(12月7日、第9話放送時の感想より)
第1話の冒頭とどう整合させていくのか?とか、龍馬暗殺などの史実を最終的にどう処理するのか?とか、見届けどころはいろいろあるのだけど、なんせ原作がまだ未完なのだから、うまく風呂敷を閉じるのは難しいんじゃなかろうか。

しかし、今となっては、そういうことどもは結構どうでもいい。江戸を生きる中谷美紀綾瀬はるか、両方を選ぶことはできないし、むしろどっちも選べない結末である可能性が高いけど、とにかく登場人物たちみんなに悔いなく生きて(あるいは死んでいって)ほしい。

なんせ、これが私の望みだったのだから、もうこれはかなえられたといっていいでしょう。

タイムスリップやホルマリン漬けになってるアレについては、原作を先取りして妙な決着をつけないでくれてよかったし、友永未来という原作にはないらしい(驚)キャラクターについても、写真それ自体を消滅させるって、うまい処理だと思う。

未来では、あの写真をとる機会がなくなってしまったのか。ふたりの出会い自体がなくなってしまったのか。それとも、ふたりの出生そのものが・・・? 一方で、綾瀬はるかが指摘したように「急になくなったんだから、また急に出てくるかもしれない」可能性だってある。どうなのかまったくわからない、でもすべての可能性を示唆する。。。それは、希望でも絶望でもない、誰もが生きる人生そのものだ。

で、そこはそうやって明らかにしなくても、登場人物たちが、なんと晴れ晴れとした最終回だったことか。

  • 「ひとりの志士が死んだら、別の奴が出てきて、そいつがやるはずだった仕事をするのさ」と言う小日向さんの勝海舟
  • 最後に大芝居を打って妹を解放してやった小出恵介くん(このシーン超かっこよかった!!!)、
  • 南方先生の境遇を察し、でも何も言わずに背を押してやった内野さんの龍馬、
  • 結局、思いを貫いて南方先生のもとに駆けつけ、わが身を呈して守ろうとした綾瀬さんの咲、
  • 「見事に治していただきんした。これ以上望んでは、バチがあたりんす」という潔い中谷さんの野風・・・。

雪の日の別れ、中谷さんがあっかんべーをして、「まっぴらごめんでありんす!」のあとの、「誰よりも、誰よりも幸せになるでありんす・・・!」と叫ぶくだりは、このわたくしも舌打ちするのを忘れて、滂沱の涙で見てましたからね・・・。

みんなみんながいいとこ見せてくれて、おさまるべきところにおさまった感じの最終回。龍馬も死ななくてよかったよー。内野さんの龍馬が死ぬとこなんて見たくないもん!

私はとっても満足できた。

まったく満足できない人たちがいるのもわかるけどね・・・

そして、最終回まで見て、ふと思ったんだけど、まっすぐな登場人物たちが熱い思いを伝え合うこのドラマって、韓流好きの奥様たちなんかをけっこう呼び込んだんじゃなかろうか。そもそも、日曜9時の「東芝日曜劇場」といえば、かつて山口智子主演の「スウィート・ホーム」なんかで好評を博した、主婦でもテレビを見やすい枠である。この「JIN」で紳助の「行列」も削ったことだし、奥様対応のドラマはここでこそ放送するべき・・・

って、次に始まるの、堀北さんと桜井翔くん! これは・・・これは奥様向けじゃなさそう・・・いくら桜井君が奥様にも人気だとはいえ・・・。てか、遠藤憲一!! 何ゆえ、こんな安そうなドラマに出るのだーーー!