『小公女セイラ』 最終回

うー・・・ん、期待しすぎたかも。きれいにまとまったけど、予想の域を超えはしなかった。

世界名作が原作なんだから、最後はセイラがお嬢様に戻ることはわかっている。しかしドラマオリジナルの紆余曲折ゆえに、院長や意地悪なクラスメイトにセイラが一矢報いるシーンに、胸のすくようなカタルシスを感じることのあまりないのが、逆に面白いところだった。

天涯孤独で無一文という境遇に陥ることによって、それまで理解の範囲外だった「正しさは時に人を傷つける」とか「価値観はいろいろ」みたいなことを学んだセイラだが、結局、お金持ちに戻らなければ、そして学院の経営が破綻しなければ、院長と和解することはできなかったんだろうか。
「どんな境遇にあってもプリンセスでありたい」というセイラの思いは、あのまま使用人だったならば院長に届くことはなかったんだろうか。

脚本の岡田惠和は、「セイラ」の前のドラマの仕事が「銭ゲバ」だ。こちらも有名な原作のある、そして主人公が「境遇」という運命から逃れられない作品。私は未見なのだが、その最終回で彼は、“もしも貧乏な家に生まれていなかったら”という仮定で、主人公が幸せな人生を送るストーリーを繰り広げたという。

貧しさゆえに狂った「銭ゲバ」の主人公の人生。ではセイラは、途中ああいう大きな挫折があっても、子供のころにたっぷりの愛情や教育を受け、やがて莫大な資産を取り戻したから幸せになれたのか? なんか、そうなのであれば、けっこう希望のない話なのかも。岡田さんもけっこう残酷なというか、人生に対して楽天的な人でないのかも。意地悪をされた相手にひどい仕返しをしない“慈悲”が、“いつでもプリンセス”のセイラならではの高潔さなんだろうか・・・?

と、なんか妙に消化しきれない感じのある最終回だった。まーそこまで考えて見るもんじゃないのか。

最後、樋口可南子がセイラに言うのが「ごめんなさい」じゃなくて「ありがとう」なのはとても良かったけどね。最終回でも樋口さんの演技は堪能させてもらった。主役から脇役まで、本当にいい演者そろいだったー。ともかく、始まるまでまったくノーチェックだったのに、3ヶ月を通してとっても楽しめたことには感謝したいぐらいの気持ちだ。この枠のドラマを見ることは、もう、当分ない気がする・・・。