上げ膳 据え膳の国々

●12月12日 土曜日
11週1日目。終日、頭痛に悩まされる。
朝起きて頭痛。中央図書館を徒歩で往復して頭痛。昼食を食べ終わって頭痛(食べてる間は忘れている)。2時間半も昼寝しても頭痛。夕食を食べ終わっても頭痛(食べてるあいだ・・・以下略)。風呂に入っても頭痛。
な ん だ こ れ は !

まあ、これもつわりの一種なんだろう。毎晩おとずれる息苦しいほどの睡魔も、たびたびの頭痛も、「吐くよりマシ」と思えば全然乗り切れる。
私は妊娠する前から比較的よく吐く人種だったので、つわりとくればさぞかし日々吐き続けるのだろう、というぐらいに覚悟していたのだった。実際のところ胃腸に特段の変調がないのは、大げさではなく「望外の喜び」ってなもん。いやー、酒さえ飲まなければ吐かない体なのねえ。

ともかく、そんなわけで、図書館に行った以外は1日じゅう家で転がっていたようなもの。そして、つわりとは特に関係ない自然ななりゆきって感じで、昼も夜も夫の世話になってごはんを食べたのだった。

焼き魚か何かでいーですよ、と言ったのに、夕食ときたらポークステーキの赤ワインソースがけ。つけあわせとして、エリンギとピーマンの炒め物やトマトはともかく、どんな器械でやったんだ!てぐらいに細かく包丁で刻んだにんじん・玉ねぎの入った卵コンソメスープまで供された。しかもどれもこれもが美味い。ここはどこの洋食屋だ。

●12月13日 日曜日
朝6時半、目が覚める。空腹で気持ち悪く、寝つけない。仕方なく起きて、トーストと牛乳を腹に入れる。ベッドに戻ると、びっくりするほどすばやく眠れた。こういうのも初めてだ・・・。

午前中に家を出て、お菓子とプリンタをおみやげ(?)に買って夫の実家へ。例によって、大量の、大量すぎる、いくら何でも大量な食事が用意されていた。

事前に、「つわりで食べられないものとかあるんじゃない? 何が食べたいか、なんでも言ってごらん」と言われ、「いやー、それが何でも食べられるんですよ。でも、じゃ、鶏の唐揚を!」と快答した私である。

(つわりの時期に揚げ物?! ていうか、鶏の唐揚ぐらい己が家で作れよゴルァ)
と思われていても不思議はないが、朝っぱらから大量の揚げ物をしてくれた優しい義両親でした。もちろん、庭の畑で取れた野菜で作られた副菜も、たーんとありましたよ。

あれだけの饗応には、受けるほうも相応の意識で望まねばならない。今日も全力で食べてきた。「そんだけ食べれりゃ上等」という言葉は、つわり時期の妊婦に対する褒め言葉と合点していいですよね? そして持ちきれないくらいの食料をもらって帰る・・・。