ヨッパライとホルモンに翻弄される

ゆうべは夫が泥酔して帰ってきて大変だった。彼は酒が強いし、基本的に陽気なヨッパライなのだが、酒量が過ぎるとでくの坊になる。まあ、年に2,3回くらいかなあ。このくらい酔っぱらって帰ってくるときがある。こんなになるまで、いったいどれだけ飲んでるんだろうと思うのだが。

彼は本質的に攻撃性をもたない男なので、暴言を吐くとかバイオレンス男になるとかいうことはないんだが、とにかくお話にならない。いったんリビングに鞄を置きにきたものの、顔が死んでて一言もしゃべらず、ワイシャツとズボンを脱ぎ散らかしてシャツとパンツという格好で、膝から下はベッドからはみでた形で転がって寝ている。

「歯くらい磨いたら?」「パジャマを着ないと風邪ひくよ」と声をかけてもまったく動かず・・・。それでいて、強引に私の毛布の中に入ってこようとする。自分のをかけてあげようとすると、なぜか激しく抵抗して足をじたばたさせる。痛いっつーの!

ほんっと、酔っぱらった人間って迷惑だよなあ。と、かつて自分も酒による醜態を何百回も(そんなに?)繰り返してきたことを思えば一概に責めることもできないのだが、完全に正体をなくしている今、寝返りを打った弾みなんかで腹に男の膝が入ったりしたら、、、なんて想像して怖くなったので(冷静に考えて気にしすぎなんだがね)、リビングのホットカーペットに毛布を持ち込んで寝ることに。

彼自身になんの悪意があるわけでもないんだけど、なんだかものすごく悲しくなって泣く。そりゃあ私、単に妊娠がわかっただけで、そんなの世の中では珍しくもなんともない、むしろ喜ばしいことだし、今の段階でひどく具合が悪いとかってこともない。でも、妊娠初期の流産率の高さに怯えてる部分もあるし、つわりがすんごくきつかったらどうしようとか、自分の体はどうなっちゃうんだ?!みたいな不安はやっぱりあるわけで。

夫にはそういう気持ちも話してるけど、やっぱり実感があるわけではないんだろうなー、私が飲めなくなったのに、平気でこんなに飲んで帰ってきてさ。自分の体のことじゃないんだもん、あたりまえだけどさ。ていうか、酒がすすむということに理屈なんてなくて、単にその場のノリとか雰囲気とか自分の体調とかだってことは、私もよくよく知ってるんだけど。でも、それにしてもひどくない?! 思いやりがなくない?! あーでも、こんなことでいちいち泣いてても始まらない。おなかの中で育てて、生んで、子どもを大きくしなくちゃいけないのに。とか、なんとか、泣いてるときはそういう気持ち。

妊娠するとホルモンの分泌が大激変して情緒不安定になるとかって書いてあるのはほんとだね! 絶対泣くほどのことじゃないのになー。実は、この数時間前にひとりで本を読みながらも、不意に号泣しちゃったんだよなあ。それは作中で紹介された原爆詩のいくつかを読んだときで、確かに本当にむごい、悲しい詩だったんだけど・・・ほんと、堰を切ったように泣いたからね。

リビングに朝の日差しが入ってきてたから7時過ぎくらいか、夫が泡食って「ごめん! すいません! 申し訳ありません!」と呼びにきたのでベッドに戻って、ひどく疲れを感じながら2度寝。起きたあとは、当然、「おなか蹴られるかと思った」「別人みたいで怖かったんだもん」「悲しくてしくしく泣きながら寝たんだよ」と、ぶちぶち文句言いました。

夫、ひたすら反省してた。あれだけ酔っぱらってたら当然ながら、彼は二日酔いに苦しんでおり、経験上、私も身に沁みてわかるのだが、ひどい二日酔いって、人を奈落の底まで突き落として反省させる力をもっている。「もうあんなに飲むのはやめます」と殊勝に言ってたが、まあ喉元過ぎれば楽しきアルコールの世界に返り咲くのが酒飲みというもの。わかってはいるけど、これからさらに張り切って家事をやってくれるそうなので、許します。