地上波でマイケル・ジャクソン追悼

週末、マイケル・ジャクソン関係の地上波番組をふたつ見たので、そのことについても書いておく。

1. 7/10深夜 NHK総合『追悼・マイケル・ジャクソン
ジャクソン5時代、テレビ番組での「I want you back」「ABC」のパフォーマンスから、大ヒット曲のプロモーションビデオを時系列で流し、公開された亡くなる2日前のリハーサルビデオ、そして追悼式での様子までをまとめたもので締めくくる。この番組のためのスタジオ収録やゲストなどはなく、プロフィール的なことや世間の評判などはビデオのバックでナレーションが語る。

過剰な編集や感傷に走るところは何もなく、秘蔵映像なども特にないので、ファンにとっては特に新鮮さはないが、変にお涙頂戴みたいな感じに走らないオーソドックスな作りは、いかにもNHKらしくて良かったと思う。とりわけ、「スリラー」と「BAD」という、それぞれ15分以上もあるプロモーションビデオを、ノーカットで、しかも全て和訳の字幕つきで放送したのはさすが。マイケルのビデオは、有名なフレーズのところだけを見てももちろん衝撃のかっこよさなんだけど、短編映画のように作られているので、全編を見るとやっぱりその革新性というか、プロジェクトとしての気魄みたいなのがビンビン伝わる。

惜しむらくは、客観性が高く、マイケルの音楽自体のみに絞って丸1時間という尺で作られたこの番組が、深夜1時過ぎからの放送だったこと。22時、せめて23時くらいからやってくれたら、もっとたくさんの人が見ただろうになー。

2. 7/12午前 TBS『The サンデーNEXT』内 マイケル・ジャクソン特集コーナー
「平和へのメッセージを歌い続けたマイケル・ジャクソン
というコンセプト。スリラーやバッドというダンスチューン(?)ではなく、『We Are The World』『Man In The Mirror』『Heal The World』などのメッセージソングに焦点を当てる。内乱や飢餓に苦しむアフリカの子どもたちを救い、平和な世界を実現しよう、人種差別を根絶しようという思いを“本気で”マイケルはもっていて、その曲の数々は世界で大ヒットし、広く受け容れられた、という編集。編集VTR自体は、10分近くあったんじゃないかな。

スタジオに戻ると、司会の徳光さんや、マイケルの大ファンだったというゲスト(ハーフ?みたいな感じの女性だった)たちもマイケル支持のコメント。ただ、還暦とかいうゲストの弁護士(よくテレビで見る人、北村さんとかいったかな?)は、

こんなに“世界をひとつに”と歌った人が、なぜ、自分は白人になろうとしたのか。そこに彼の“心の闇”があったはずで、その心のメカニズムというのが、今後、解明されることを望む。まだ自分には彼の精神性は理解できない

というコメントをし、「あれは白人になったわけではない」「肌の色素がなくなる病気で」「いや、でもやはり何かしらの薬は用いているだろう」などと、ちょっとだけ議論が起こる。その辺でコーナーは終わった。

主な視聴者層は中高年であろう日曜午前の報道番組の中で、マイケルの平和運動家という一面が特集されたのは驚きでもある。かなり好意的に作られたビデオだったし。死亡直後は、後半生のゴシップに重きをおいて報道されることがほとんどだったが、世界的に追悼ムードが高まり、CDやDVDなどが売れまくってから、日本のメディアもこのように称賛する方向になってきたってことかな。

最後の弁護士さんのコメントも、あれは恐らく台本どおりなんだろうし、まあコーナーを締めるのに必要だったんじゃないかと思う。見てる多くの人たち(特にこの番組の視聴者層はそうだろうし、私にもそういう気持ちはある)を代表するだろうコメントだもんね。全面的にマンセーするだけだと、制作側が頭悪く見えるというか、「アンタたち、どんだけ調子いいんだい?」て印象になっちゃうし。