King of Pop が死んだ

マイケル・ジャクソンが死んだ。
うーん。
平静ではいられないのだよね、やっぱり。

その事実は、日本でいう先週の金曜日、26日の午前中にはわかっていたことなんだけど。

当日、出勤前の朝の情報番組で一報を聞いたときは、そうでもなかった。
「ああ、きたか。」
「ああ、ついに、その日が。」

ってな気持ちだった。
この、「ああ」っていう感嘆詞?がついてるところがミソなんだけど。

それが、週末の報道を経てジャブが効いてきて、
きのう、今日ぐらいは、もう完全に打ちのめされてるね。

や、身も世もなく嘆いてるわけじゃない。
ニュースで映るアメリカ市民みたいに、涙にくれたり、逆に叫んだりしてるわけでもないよ、もちろん。
普通に会社に行って、仕事して、家に帰れば家事したり晩酌したりしてる。

その合間に、ネットでマイケル関係のブログ記事をチェックしたり、you tube見たりしてるうちに、
なんかね。身に迫ってくるもんがあるのさ。

マイケルのこと、大好きだったんだよね。
街のあちこちで流れてるから好きになった、とかじゃない。
衝撃的な出会いで、一気に魅入られちゃった。

「それが14歳のころだったから、
 まあ、ネット用語?でいう、『中二病』だったんだよな(笑)」
大人になって久しく、そんなふうに思ってたのだけれど、
そうだとしても、骨の髄まで沁み込んだ、この「中二病」の根の深さ、、、たるものに、
あらためて愕然としている、この数日なのである。

私が14歳のころ、といえば、1992年か1993年。
バブルまっさかり? いや、既に弾けてたのか?
とにかく、グラミー賞の授賞式を、確か地上波の番組でやってたんだよね。
もう今はやってないよね? そんな時代。

私はちょうど、洋楽に目覚めた年頃で、
深夜ラジオで「American Top40」なんかを愛聴してて(時代を感じますな、、、)、
そんな流れでその番組にチャンネルを合わせたんだと思う。
ニルヴァーナとか、アレステッド・デベロップメントとかがお目当てだった。

その授賞式で、『Living Legend賞』つまり「生きる伝説で賞」みたいな、
すごい名前の賞を受賞したマイケルのパフォーマンスを見た瞬間、トリコになった。

CM明け、いきなり「Living Legend」と題したVTRが始まる。
最新の映像(確かスーパーボウルのハーフショーだった)からジャクソン5まで、
時系列を逆になぞっていく、マイケルの栄光の映像。

それを受けて授賞式の会場に歓声が湧き、
登場したのは、真っ白いスーツに身を包んだ妹・ジャネット・ジャクソン
当時は20代前半だよね、きっと。

彼女は、VTRをまとめるかのように、
マイケルの20年以上に渡る音楽活動の功績と、
そして、妹として、どんなにマイケルを愛しているかを語って、
高らかにマイケルの名を呼ぶ。

満場がスタンディング・オペレーションで、マイケルを万雷の拍手で迎える。
もう真っ白い肌になっていたマイケルは、壇上に上がり、ジャネットと固い抱擁をかわして、
長いスピーチを始める。

ジャクソン5のリード・ボーカルとして10歳でデビューした彼が、
その身に受けてきた栄光と、それに伴う、想像を絶するゴシップ報道について。
名声とひきかえに、純粋な子ども時代を奪われてきたこと。
それでも、自分がどんなに音楽を愛しているか。
だからこそ、無垢な子どもたちを、どんなに愛しているか。
そういうスピーチ。
会場中に巻き起こる歓声に「I Love You!」と例によって繰り返して、マイケルは応えた。

大人になって思えば、ちゃんとスピーチライターがいたんだろうけどね。
そうだとしても、すべてのパフォーマンスに心底からのソウルを感じさせるのが
マイケル・ジャクソン表現者としての恐るべき才能だし、
なんたってローティーンの私だったので、おおいに感化されたわけよ。

そして続いて、マイケル・ジャクソンのミュージック・ビデオ集がたっぷり20分ほども放映されたんだから、これはもう。
今度は順時系列で。
「ビリー・ジーン」
「ビート・イット」
「スリラー」
「バッド」
「ブラック オア ホワイト」
「ヒール・ザ・ワールド」
ときたら、ノックアウトされてもしょうがないよね。
ほんと、衝撃だったもん。

しかも、当時すでにオタク気質(?)を表していた私、
ちゃんとその番組を、ビデオテープに録ってたんだよね。
何十回と見たよ、繰り返し。
当然、CDも買った。中学生でお小遣いに乏しかったので、珍しく親にねだったりして。

しかも、翌年、マイケルが福岡ドームでコンサートやったんだよ。
まだ中学生のガキんちょだったのに、私、見に行ったんだよー。
5歳年上で、既に社会人になってたお姉ちゃんにチケットを買ってもらってさ。

いやー、相当、ヤバイくらいのファンだよね。
でもそれは、今から15,6年前のこと。
その間に、私は大人になり、マイケルを取り巻く状況も変わって、
彼の死去にゆきあったこんにちの、すごく複雑な、簡単には書けない心境に至る。

長くなりそうなので続きはまたいつか。

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