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俳優祭

●深夜帰宅すると、NHK俳優祭をやっている。老若男女(いや、ほんとの意味での『女』は波乃久里子さんぐらいしかいないが)の歌舞伎役者が屋号を問わず同じ舞台に立つという、1年に1回あるかないかのうれしいファンサービスデー。いやー・・・2年前にテレビで見てたので知ってたけど、凄い。凄すぎる。歌舞伎ファンじゃなかったら、「何この悪趣味な芝居は?!」てドン引きしまくりの舞台だ。

●童話「シンデレラ」を明治風に仕立てるという筋書きのこのお芝居。継母は勘三郎、ふたりの意地悪な姉は福助橋之助。魔法使いのおばあさんは左團次菊五郎はなぜか「おくりびと」に扮してチェロを弾き、舞踏会ならぬ『歌舞伎座』の大パーティーで乾杯の音頭をとるのは北島の宮殿下?とやらの海老蔵。もちろんモロ肌脱いで「チョー気持ちいい!」とか言い放つ。米国からやってきた将軍(仁左衛門)は「Yes! We can!!」、その夫人キャサリン団十郎)は「カブキ座 is change!!」。福助矢島美容室のオズマの扮装であの歌を歌舞。もはや芝居自体に何の必然性があるのかさえわからない勘太郎七之助の兄弟や彌十郎亀蔵などは「配達に来ました〜!」とかいって岡持ち片手に登場したあげく、勘太郎の結婚ネタとかやったり。。。まったく収拾がつかない事態。

●そう、これは「歌舞伎というのは歌舞伎役者を見に行くもの」という至言がまさに体現された世界なのだ! ドギツいまでのメイクを施し、下品で安直なせりふが飛び交い、ぐだぐだなシナリオであっても、それを演じるのが「あの」団十郎菊五郎という大物であったり、若手花形の海老蔵菊之助であるというだけで、客席は爆笑と歓声の渦。ジャニーズのコンサートやアキハバラでのコスプレなんかに勝るとも劣らない、日本が誇る「萌え」の原点がここにある! 

●主役の「シンデレラ=灰被姫」を演じたのは玉三郎。悪ふざけのすぎる舞台にあって、当代きっての名女形であるこの人だけはまっとうな、、、というか、最後の良心とばかり、可憐で華麗な姫役を演じる。これは、前回の俳優際で見た『白雪姫』でも同じだった。がらりと舞台が回転すると、「カブキ座の精」なる五?天王が登場。芝翫富十郎藤十郎、吉衛門、幸四郎の大御所たちです。やがて全員集合し、「歌舞伎座はいったんお休みをいただきますが、これからも隅から隅までずずずいーっと、よろしくお頼み、ア・申し上げまする〜」てな感じで豪華絢爛にフィナーレ。

●ちなみに、亀治郎さんはカブキ座大パーティの司会者・白柳徹子とやらに扮していた。に、似てたよ。。。でも、その前に彼のお父さん、段四郎が出てきたとき、「亀さん?!」て一瞬、思ってしまったんだよね。さすが親子!声が激似。どんな世界でも世襲制には弊害があろうが、愚かというなら言え、やっぱり歌舞伎界では、こういうのを堪能するのがファンの楽しみなのだ。そして、カブキ座近くの新橋の料亭の女将として出てきた雀右衛門丈。御年88才になる女形の大御所は、人力車から降りず。やはり、踊るのはもはや難しいのかな・・・。でも、口上はまだまだしっかりされてるのが嬉しい。何のかかわりもないけど、お元気でいてほしいと思ってしまう。